作中、東京の駅で
迷子を見つけるシーンが印象的でした。
二人がどんなに声をかけても
頑なに口を閉じていた子どもが、
母親を見つけ、初めて大声で母親を呼ぶ。
なぜ最初からそうしなかったのか
と疑問に思う十嘉に対し、
『逆なのかも』と返す五十鈴。
母親がいて、
“ちゃんと聞いてもらえる”って
安心したから初めて声が出せたのかも、
泣けたのかも…と。
これは、
お互いに当てはまることではないかと感じました。
今までは
他人を気遣って、伝えられなかったこと。
素直に自分の思いを明かせなかったこと。
心が通じ合って、
初めて相手に伝えられるようになる。
繊細で美しい情景描写に、
まるで映画を観ているかのような感覚を覚えます。
次巻で完結とのこと。
何年待つことになってもいいので、
作家さんの納得できる形の終わりが見たいです。
27/09/2024
27/09/2024
27/09/2024
五十鈴に告白してすぐ、
玄関までしか入れなくなってしまった十嘉。
破ろうと思えば破れてしまうその約束を、
律義にも十嘉は守り通します。
バイトだから帰るけど、
メッセージのみを送って帰るのではなく、
五十鈴が玄関に来てから帰る。
トイレを借りたいけど、
【玄関まで】という約束だから招き入れることを
「怖くないか?」とキチンと確認してからにする。
つくづく、
優しさっていうのは一方的なものではなく、
あくまでも相手のことを思い遣る気持ちのことを
指すのだと実感させられます。
言葉で、行動で、真っ直ぐに想いを伝える十嘉。
番外編という位置づけにしてしまうには
あまりにも惜しい。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
27/09/2024
27/09/2024
27/09/2024