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身勝手で自信家の男・修一が出張先で出会った純朴な台湾人の男・ウェイ。台北と東京を舞台に2人の5年に及ぶ遠距離恋愛の行方と破綻を描く、官能ラブストーリー。
【あらすじ】
“二人の関係は、決して誠実でもなければ、美しくもなかった――。
俺には時間が必要だった。すんなり胸に落ちてこない現実。それを整理するには、出会いから別れまでをもう一度振り返る必要があるのだろう。”
父親の経営するPR会社で副社長として働く西澤修一は、元ラガーマンの肉体と容姿に恵まれていることもあって自信に満ち溢れ、わがままで自己中心的な生き方に徹している。それは男遊びに関しても同様だった。
そんな修一が、出張で訪れた台北で出会ったのが、純粋で素直な台湾人のリウ・ウェイ。単なるビジネス上の繋がりが、いつしか特別な関係へと変貌していくものの、修一の性格がそう簡単に変わるはずもなく。
2010年夏の出会い、そして日本を揺るがす大災害が起こる2011年3月までの物語。
<本文から抜粋>
シャワールームから洩れてくる水音を聞きながら、俺は期待に胸を弾ませた。
台北に来て、複数の男たちと肌を合わせた。だが今回はちょっとばかり違う。これまでは言ってみれば、夜の顔をした男たちばかりだ。
真剣に通訳を務める、昼間のウェイの顔を思い出すと、どうしようもなくときめく。聡明で端整な顔が、どんな風に快楽に歪むのか、妄想がとめどなく膨らむ。
俺は、ベッドのヘッドレストにもたれて座った。タオルを剥ぎ取って全裸になる。そそり立ったまま少しも落ち着きを見せない性器に手をやる。軽くいじっているだけで、快楽の火が灯り、俺はそのまま自慰を始めた。
普段から先走りが出るのは早い体質だ。すでに我ながら呆れるほど濡れている。
手のひら全体で、先端を包むように愛撫すると、じんわりと熱く火照ってくる。
「ふう――っ、は――っ……」
目を閉じて、湿った吐息も漏らす。次に目を開けたとき、ちょうどウェイがバスタオルを腰に巻いた状態で、シャワールームから出てきたところだった。いまだ白い湯気が裸体にまとわりついている。
ウェイは、俺の淫らな姿を目の当たりにして、その場に立ちすくんでいた。
***
■新作書き下ろし
■<前編>の総文字数28000字超。
■2011年3月から2015年に至る2人のその後が描かれる<後編>は近日配信。