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台北と東京を舞台にした遠距離恋愛の行方、そして2人を取り巻く男たちの人間模様を描いた官能ラブストーリー後編。
【あらすじ】
2010年夏の台北での出会いから、ようやく2人の距離が近づいたときに東日本を襲った大震災。
ボランティアで来日したウェイと正式につきあうことになったものの、銀座の街で偶然出会った知人によってウェイの隠された過去を知ることになる。
第三の男、さらに見え隠れする父親の不穏な動き。
自分を見失った修一がとった行動は……。
<本文から抜粋>
振り返ってみると、その日に始まるおおよそ2年半が、俺たちにとっての蜜月というものだったかもしれない。
俺はほぼ1.2か月に一度のペースで台北に飛び、ウェイもたびたび東京にやってきた。香港やバンコクの空港で待ち合わせたこともある。俺は、ウェイ以外の男と遊ぶことをやめた。周囲から人が変わったようだと言われたのもこの頃だ。
だが、人間の本質など、そう簡単に変わるわけなどない。
それが俺の愚かな思い上がりだったと気づかされる出来事が起こったのは、忘れもしない2013年の初秋のことだった。
ウェイは中秋節の休暇を利用し、東京に滞在していた。2人で銀座の中央通りをブラブラ散歩していたときだった。
*
短髪というにはわずかに長い髪が、かえって自然で落ち着いた印象を与える。見るからに仕立ての良さそうなスーツもよく似合っていた。おまけに体格もがっちりと逞しく、見たところ、俺と同じくらい上背もあった。きりりとした眉と鋭い目が端整さを放ち、まさにウェイの好きなタイプだと確信した。
俺は舐めるように観察したあと、マスターを通じて、話をしてみたいと伝えてもらった。
カウンターに並んで座り、酒を飲みながら話をする。
「初めて見る顔だね。店に入った瞬間から、俺も君のことが気になってたんだ。声をかけてもらって光栄だよ」
俺は苦笑し、それなら話は早いと思った。
その後、どんな話をしたかよく覚えていない。本心では会話など時間の無駄だと思っていた。やがて俺は、カウンターの下で、高岡の太ももにさりげなく手を置いた。
明らかにスポーツをしていたとわかる、太くて硬い大腿筋があった。ゆっくり上下にさすると、高岡の手が俺の手に被さり、ぎゅっと握ってきた。
***
■新作書き下ろし
■<後編>の総文字数25000字超。