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雨に濡れたというのに、ラクトは元気いっぱいである。倒れたのはモリースだった。
歳のせいなのか。過労なのか。よくわからないが、ぱたりと倒れた。
「ハル! 医者、医者を呼んでこい!」
居室の中で昏倒したモリースを見、若様は命じながら自分が駆けだした。ハルは壁についている非常ボタンを押した。
すぐに下男と警備が駆け付けて、「医師を手配いたします!」と言った。
出かけていたラクトが戻ってきて、運ばれていくモリースに付き添う。敷地から連れ出されるのだ……もしも感染する病気だったら大変だからだ。奴○が死ぬのは仕方ないが、大切な貴公子達に何かあったら一大事である。
若様は不安げに椅子に座って、報せを待つ。数時間して通信が入り、感染する病気じゃないと告げられた。暫くは入院、とも。
『いかがいたしますか、このまま医療処置を施してよろしいでしょうか?』
老いた奴○だし、いらないなら適当にしときますよ、ということだ。
「僕の大切な奴○だ。出来る限りのことをしてくれ」
『承知いたしました』
ラクトを一晩付き添わせるようにと付け加えて、若様は通信を切った。
「びっくりした……」
「はい」
「前にも倒れたことがあるんだ。もう歳だから……凄く凄く歳なんだ。本当は一緒に宇宙に連れて行きたいが、歳を取っているから新しい環境は無理だろうって言って、それで……」
ハルは相槌を打つ。
「亡くなった大叔父上が下さったんだ。僕が、背が高くて楽しい奴○だって言ったら、持って帰っていいよって……」
若様は深く息を吐いた。
「もうお休みになりますか? 湯あみの支度をいたします」
小さく、若様は頷いた。