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Cercle | ロールシャッハテストB |
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Date de sortie | 28/11/2022 |
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Accouplement | |
Auteur | まさみ |
Illustration | о / はこべ |
Âge | |
Format du produit | |
Format de fichier | |
Autre | |
Langues prises en charge | |
Nombre de pages | 71 |
Genre | |
Taille du fichier |
596,24KB
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- (241.81KB)
Résumé du produit
あらすじ
「俺にとって書くことはくそったれた人生と弟への復讐だ」
ある刑務所、アクリルガラスを隔てた面会室。記者の取材に応じた囚人の名前は片桐景文、28歳。
数年前に起きたセンセーショナルな事件の関係者だ。
刑務所に収監された景文が語り出したのは三歳下の非凡な弟、片桐亮との確執。
容姿と才能に恵まれ誰からも愛される亮とは対照的に、自らのどうしようもない平凡さ故に屈折し、歪んでいく景文。
若くしてベストセラー作家となり一世を風靡した亮と景文の、愛憎入り乱れた秘密の関係とは……。
執着尽くし攻め(弟)×淫乱平凡クズ受け(兄)
作者Twitterアカウント @wKoxaUr47xGeAZy
(作品の裏話や情報を更新しています)
登場人物紹介
プロローグ
兄より優れた弟はいくらでもいる。
才能に年功序列の概念はない。俺の弟がいい例だ。アイツは俺よりなんでもよくできた。子供の頃からそうだった。
弟の名前は|片桐亮《かたぎりりょう》。ペンネームも同じ。
あんたも知ってるだろ、近年稀に見るベストセラーを連発した売れっ子作家様。著作はほぼ全部映像化されて大ヒット、デビュー以来でかい賞を獲りまくって不況が長引く出版業界の寵児といわれた男。ルックスも恵まれていた。俺みたいに地味で冴えない男とは大違い。
亮の小説は事件後の方が重版がかかっている。最新作の『チューベローズ』は発売一か月で五十万部、だっけ?百万部の大台狙えるかもな。
話題性の追い風は認めるに吝かじゃないが……本当に物好きというか、大衆は悪趣味だ。あなたも同類か。わざわざ刑務所まできて、独占取材を申し込むんだものな。
片桐亮ならともかく、その兄貴の事なんて世間は覚えちゃないだろ。
俺は影が薄いんだ。だからカゲフミ。子どもの頃いた施設の連中にさんざんからかわれたよ。
……不思議そうだな。疑問があるなら言ってみろ。「なんで自分の取材を受けたのか」って……そんなことか。ただの気まぐれさ、暇潰しにもってこいじゃないか。生憎まだ数年刑期が残ってるんだ、房じゃ本を読むしかやることない。
何の本?まだそれを打ち明けるほど親しくないはずだよ、記者さん。急いては事を仕損じる、取材対象とはじっくり向き合わなけりゃ。
あなたは自分勝手に気持ちよくなる早漏じゃないだろ?
ちゃんと俺のことも気持ちよくしてくれなきゃ、見返りはくれてやれないよ。
さて、第一回目の取材テーマはどうしようか。まずは生い立ちから?了解。
名前は|片桐景文《かたぎりかげふみ》。年は28。
生まれたのは東京都近郊の中核都市。両親は平凡な人物だった。父親の片桐裕はサラリーマン、母親の片桐麻美は専業主婦。実家の経済状態は中の上。当時住んでいたのは白い壁と緑の屋根の建売住宅、小綺麗な一軒家だった。
俺はごくごく普通の子どもだった。よその子と比べて特別秀でた所はない。
情報を補足するなら他の子と同じように絵本が好きで、寝る前には母親に読み聞かせをねだっていたらしい。全然覚えてないけどな。まあ、幼児期の記憶なんてそんなものだ。
……違うか。覚えてないのは俺が俺だからだ。亮ならきっと細部まで覚えてる。
アイツときたらぬるい羊水ん中で泳いだ胎内記憶まであったんだぜ、信じられるか記者さん。
亮が生まれたのは俺が三歳の時。
当時はまだ幼稚園児だったから、弟が家に来た日の事すら覚えてない。気付けば家族が増えていた。月並みな表現だが、亮は天使のように可愛かった。
父にも母にも似ていない、突然変異の愛くるしさ。
俺も亮に興味津々だった。ベビーベッドの柵の間から人さし指を突っ込んだら、キュッと握り返された。赤ん坊の把握反射。愛情の証明なんかじゃない、ただの生理現象だ。無力で非力な赤ん坊はそうやって人に母性や愛情、庇護欲を植え付ける。本能的な生存戦略。
両親はすぐ次男に夢中になった。