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自らのリビドーを包み隠さず、主導権を握る女性像
に”幾花にいろ”先生の世界観とのシンパシーを感じ
た”層積”先生、”comic快楽天”、”WEEKLY快楽天”
配信版にて発表された短篇・八作品を収録した自身
初の単行本。
印象に残った収録作品は、ヒロインの”青山雪”を目
当てに、彼女がバイトする喫茶店へ足しげく通う男
子主人公”季風”。彼女との、少ない接点である珈琲
の話題から、”季風(すえかぜ)”の部屋を訪れること
となる”雪(そそぐ)”…な、短篇「苦くてすっぱい」。
カラミの主導権をとる”雪”が記憶に残る、お話でし
た。
読んでいて感じたのは、冷静なカラミからほとばし
る、ヒロインの秘めたる情熱。その作風とスタイル
から、”幾花にいろ”先生の世界観を思い出しました。
ですが、”幾花にいろ”先生の熱量過多なカラミとは
対照的な、情熱を秘めた静かなカラミから、”層積”
先生ならでは、な、独自の世界観を構築されていま
した。
層の厚いワニマガジン社・作家陣の中で、けれん味
のない実力派で、プロパー作家さんでもある”層積”
先生の存在に、出版不況といわれて久しい現状を打
開してゆくエナジーを感じさせる期待と希望の一冊。