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世界が終わりを迎える中でもたくましく生きる市井の
人々の物語はSFのジャンルとしてよくあるモチーフ
なのですが、これを成年コミックとして落とし込んで
いる作品は、私が知らないだけかもしれませんが、
なかなかありません。
終わりゆく世界に暮らしているからこそ、生物として
生殖行動の欲求が高まるのは必然。その世界背景を
念頭に入れて読めば、例えばエロパロレイプ物の
「めぐみの果実」もまた違った見方が出来るのでは
無いでしょうか。

世界がどうして水没し始めたのか、「思秋期の薬」の
中で言っていた人類が子供が出来づらい体になって
いる原因や、「金糸雀の坂道」で言及されていた
事故とは何なのか等など、世界の詳細が明かされる
事は無いので、読者の読む力が試されます。
ですが、この事は藤丸先生の中では特に描きたかった
事では無いようですので、読者に解釈を委ねる形を
取られたと考えます。
藤丸先生が描きたかったものは巻末に書かれて
いますので、ご一読することをオススメします。

とは言え、そんな舞台背景を気にしなくても
十二分にエロいです。
なので小難しい事を考えなくても良いですし、
けど、その舞台背景に思いを馳せながら読むと
また違った感情が生まれるかもしれません。

まごうことなき傑作です。