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魔性の黒髪とアンチテーゼのギャル、男子学生をもてあそぶお姉さんJK、ギャルをものともしないアンチモラル教師、毒男オジサンにやさしい猫ギャル。

JS専門でない掲載誌の3編が単行本になることは難しいかと思っていたところでした。

ロリコン偏重でもない読者がフツーに親しめる絵柄は魅力的です。

「くちなわ～」のモンタージュな描写といい、心の動きを巧みに伝える手腕はエロ漫画以外でもきっと描いていける作家さんでしょう。

JS同士のアレを発明した「プロトタイプロリータ」は相当なインパクトでしたが、テンプレな場面から始まる行く先不明の列車も変化球で愉しませてくれます。もう6年も前なんですね。

直近の2編「くちなわ～」と「バッカス～」は非常に力作です。

黒髪はゆかり子ちゃんに通底する例のヤツですよ。こういう隠し球、大好きです――第2ボタンが初めの頁でどうなっていたかを確認せずにはおれません。

ティーンとの和姦エッチ後のフォローもフレンドリーでひときわ優しい描かれ方です。プロトタイプマドモアゼルでもみられた和気藹々な表現がより一層的確に昇華されていますね! 情動の幅と厚みがあるので、よく言われるようなキモオタの妄想と片付けてしまうには抵抗のあるドラマに仕上がっています。エロ漫画にしておくのは惜しいほど。

猫ギャルの中年は都合のいい妄想ではないのか、というツッコミを受けそうですが。寂しい猫ギャルは孤独感の共有を誘うテーマを秘めています。読み方によっては現代的な社会背景(毒親、いじめ、生涯未婚率)をも行間に感じられる……かもしれません。

とにかく、都会のオアシスというロマンの一遍ですね。昨今のパパ活に比べれば、いかに純粋に見えてしまうことか。むしろ、現実の方が狂っていると言えてしまうでしょう。それを考慮すると、だからこそ6年前の「BLACK～」が冒頭を飾るわけなのだと思います。

書き下ろしはサービス感満載の続編でした。