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部活で帰りが遅くなり、急いで帰路につく竜一くん。
夕闇の学校はちょっと不気味と早足になるが、不気味な理由はそれだけではなかった。
竜一くんのすぐそこには禍々しい影が迫っていて、やがてその影は彼の腕をつかみ、そして……。
「ぎゃっ」「きゃっ」ドサッ…???
竜一くんの目の前には、幼なじみのほの花が尻餅をついている。
ほの花は、長く伸びすぎた髪をモッサリと揺らせつつ立ち上がると、
一緒に帰りたかったから今まで待っていたのだと微笑む。
そんな笑顔の彼女にカーッと顔を赤くする竜一くん、
せっかく顔は可愛いのにと、今さらながら思うのには訳があった。
ほの花は、そのやぼったいほど長くした黒髪が災いし、
クラスメートたちからはモップオバケだのと揶揄されていて、
幼なじみの彼からすれば、彼女の魅力をジャマしてやまないその長すぎる髪と、
それを良しとするほの花に対して、なんとも歯がゆい想いがあったのだ。
だから言ってしまった…お前、髪切れよ。
ほの花は、髪を伸ばしている理由について、その大きい胸に手をあてながら、
「ガンカケ」しているの…とポツリ。
しかし、その願い事については内緒の2文字の一点張りで、
せっかく心配してるのにと顔を真っ赤にして怒る竜一くんに、
頑なな態度で秘匿を貫くほの花はしかし、その後一転して竜一くんに抱きついて懇願する。
曰く、お願い、つきあって…と。
本日一番の赤顔をさらしてドッキドキの竜一くん。
しかし、つきあっての先が「トイレ」と知りガックシの彼は、
夜の学校は恐いんだもんと、
男心も露知らずのていでのたまうほの花とともに、女子トイレへと向かうのだった。
「COMICエウロパ 2015年3月号(BJ053418)」に掲載されている作品です。
「COMICエウロパ 2015年3月号(BJ053418)」に掲載されている作品です。