シュプリーム10巻では、バンドとして大きなステップを踏んでいます。
前巻から続く形でサウサンプトンでのロックフェスが描かれ、彼らの音楽は正面からロックファンへと届けられた。
実のところ、ジャズのスタイルは(ロッカーが言ったように)源流をたどればロックを同じなわけであり。
特に、NUMBER5の演奏(正確には Dai Miyamoto Number 5)はスタイル的にも近しいものがある。
彼らの受容は、あるいは必然だったのかもしれません。
その大いなる体験を経て、この巻ではラファエルとハンナにスポットを当てています。
バンドとしての経験を積んだことで二人は大きく変化している。
大に当てられ、自分を少し見失っていたラファエル。
大と支え合うことで、少しだけ柔軟さを手に入れたハンナ。
二人の変化は、連続的に読書しているがゆえに明らかなもの。
特にハンナ辺りは、シンプルに服装まで変わってきているので、変化が目に見えやすいですね。
影響し合い、引き上げられた印象のあるエピソードでした。
大自身も、ライバルと言えるアーニーとのデートが味わい深く。
アーニーはボーナストラックでも登場していますが、いや、実に彼らしいというか。(笑)
敗北感をスッカリ忘れてしまったシニカルさは、英国人らしいニヒルだと思います。
今巻は、音楽よりもドラマに重点が置かれた印象でしたね。
シュプリームの終わりを迎える目前の、大詰めを前にした閑雅さがあった巻でしょう。
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