一陣の光さんのレビュー一覧

独特な叙情感と郷愁あふれる作風が印象に残る
”楝蛙”先生、”comic快楽天”と”X-EROS”へ掲載
された短篇・九作品を収録した、自身三冊目の
単行本。
印象に残った収録作品は、アイスを食べていた
男子主人公”和田くん”が、昔、付き合い始めた
ばかりのヒロイン”河原”との思い出を回想する
短篇「はじめから」。”楝蛙”先生・テイストが
炸裂する、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、更に深みを増し
た叙情的で郷愁あふれる、その作風。前述した
短篇「はじめ～」や、ヒロインとの出会いと再
会を描いた巻頭を飾る短篇「湯気のゆくえ」で
濃厚な”楝蛙”先生・テイストが堪能できました。
カラミシーンにページ数を割く作家が多い中で
男性主人公とヒロインとの関係性を、丁寧且つ
詳細に描く”楝蛙”先生、三冊目の単行本。良作。

”comic快楽天ビースト”2022年03月号、今月のお題は『おフェら』。印象に残った掲載作品は、男性主人公が務める飲食店へアルバイトに来たヒロインはかなりのポンコツで失敗ばかりだけど彼に気があるようで…”イゲドアハ”先生、花柳界で次期家元と期待されているヒロインのストレス発散法は…”雛咲葉”先生、授業中に体調が悪くなったヒロインが保健室に行くと女性保険医が男子生徒と真っ最中で…”長頼”先生などなど、楽しめた一冊。

登場人物の情感を巧みに展開へと取り込む作劇と
着実に向上している画力が実感できた”ももこ”先
生、”comic快楽天”に掲載された短篇・八作品を
収録した単行本。
印象に残った収録作品は、実家へ帰ってきた男性
主人公。親から結婚しないことをしつこく問われ、
居心地悪くて外へ出ると、ヒロインと卒業以来な
再会をして…な、短篇「ある春の日」。成り行き
でセックスしたら感度が良く、カラダの相性抜群
なヒロインに夢中となる男性主人公を丁寧に描い
た、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、既刊な前作単行本
「Rabbit Paradise」よりも着実に向上している
作画と作劇。前述した「ある～」での構成の巧み
さは記憶に残る、と思います。
派手さとか、けれん味を抑えた、いぶし銀な一冊。

"comic快楽天"の2022年03月号。印象に残った掲載作品は、カレ・カノな関係ではないけれど幼馴染で男子主人公に勉強をみてもらっているヒロインが気まぐれに彼とセックスしたら…”Hamao”先生、泳ぎの速い男子主人公は水泳部の部長ながら頼りなくてその姿をイライラしながらみているヒロインが…”オクモト悠太”先生、家庭環境に問題があって自宅に帰れない教え子のヒロインを部屋に入れている教員な男性主人公が…”ICHIGAIN”先生、彼氏はいないと思っていたコンビニバイト仲間のヒロインにオトコがいたことにショックをうけた男子主人公が…”うぱ西。”先生などなど、充実のラインナップが光る一冊。

”きい”先生の、アンダーヘアの描き込みに
作家さんとしての個性を感じ、記憶に残る
二話構成の一作品と、短篇・七作品を収録
した自身三冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、帰宅した”リン”
のパパな男性主人公が、”リン”の幼馴染で
女友達の”優”と久々に再会することから始
まる…短篇「優惑」。”リン”パパを誘惑し
処女を捧げて想いのかなう”優”の魅力溢れ
る、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、『恥毛』の
描き方。既刊の初単行本「放課後バニラ」
に収録され、”きい”先生・作品を初めて知
った短篇「スカートの中の宇宙」で、目に
焼き付いて離れなかったアンダーヘアの描
き方と繊細なストーリー展開から、その作
品を追う様になったといっても過言ではあ
りません。三冊目となる本巻もヒロインや
男子主人公の熱い想いを繊細に描いていて、
完成度が極めて高い短篇集となっていまし
た。
”石川シスケ”先生のネームと、自身の作画
でコラボした短篇「ビビってねーし!」で
は、新たな一面を垣間見せる一冊。超良作。

硬質でコントラストが強調されたNEO劇画な
絵柄とヒロインのモノローグによる進行から
”宇能鴻一郎”先生・原作”にっかつロマン～”
を彷彿とさせる”オオバンブルマイ”先生、短
篇一作品と長篇「私は痴漢に恋してる」シリ
ーズの、描き下ろしを含む全七話を収録した
単行本。
印象に残った収録作品は、社会人・一年目な
初出勤の電車内で痴漢に襲われて処女喪失し、
そのカラダに快楽を刻み込まれてゆくヒロイ
ン”伊東アスカ”…な、「私は痴漢に恋してる」
の第一話。
読んでいて印象的だったのは、ヒロインのモ
ノローグで進行する”ロマンポルノ”を彷彿と
させる展開とNEO劇画のコントラストを強調
した硬質な絵柄とのマッチングの良さ。スポ
ーツ新聞などで盛んに連載され、一時代を築
かれた”宇能鴻一郎”先生・作品を思い出しま
した。
和姦で柔らかな絵柄が主流な今、異彩を放つ
硬質な絵柄と、痴漢行為からカラダを目覚め
させられるヒロインが、かえって鮮烈な一冊。

個々の様々な理由から男性経験のない女の子を
催眠アプリで次々と処女喪失させてゆく男子主
人公…長篇「その純潔は奪っていい」全五話と
スピンオフ短篇・一作品を収めた”しじょっこ”
先生、自身二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、処女と思われる子達
四人の純潔を奪い、望みを完遂した男子主人公
でしたが……な、第五話「今河ひなたの独白」。
読んでいて印象的だったのは、男子主人公の欲
望と、女の子の処女喪失に対する想いとの対比。
処女膜を破ることに傾倒し、それを遂げた途端、
急速にその子への興味を失ってゆく男子主人公
と、処女喪失後、堰を切ったようにセックスへ
走る、女の子の姿との対比が、本作の隠された
主題だったのかな、と、読後に感じました。
催眠、という手段で抑え込んでいた欲望を解放
させる登場人物を華やか描いた、長篇作でした。

例年になく寒さ厳しい今年の冬。”comic快楽天ビースト”2022年02月号で暖まりませんか?。印象に残った掲載作品は、あまり良いウワサを聞かないヒロインさんとライブへ行くことになった男子主人公がその帰りで彼女に童貞を奪われる…”kakao”先生、保健委員のヒロインさんに優しくされて告白した男子主人公に～ごめんなさい～する彼女には隠された想いが…"半里バード"先生、新歓コンパへ下戸なのに参加した男子主人公がやはりその場に馴染めなかった後輩女子と彼の部屋で二人きりな二次会を…”仲町まち”先生などなどで暖まる一冊。

小気味よいテンポでサクサク進む展開が、良質な
作画と相まってハイグレードな読み心地を提供す
る”kakao”先生、短篇・九作品が収録された自身
五冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、共学ではないので彼女
をつくる最大のチャンスとばかり意気込む”坂木”。
カラオケ合コンで売れ残った、彼と”水原由乃”が
お付き合いを始めることになって………な、短篇
「サイレントモード」。おしゃべりは苦手なのに
スマホでは饒舌な”由乃”が記憶に残る、お話でし
た。
読んでいて印象的だったのは、小気味いいテンポ
でサクサク進行する展開の妙味。少し込み入った
キャラクターの設定においても、そのテンポ感は
健在で、良質な絵柄と相まって高次元の読み心地
と読後感を約束しています。
本巻で、ある意味”kakao”先生の作品スタイルを
確立したと言えると思える、自身五冊目の単行本。

本年最初の”comic快楽天”2022年02月号は400ページ超の特大ボリーム。電子書籍ではピンときませんが紙媒体だと立ちます、電話帳並みです。印象に残った掲載作品は、交換留学生なヒロインの指導に戸惑う教師な男性主人公…”翁賀馬乃助”先生、強面だけど声の小さい彼氏な男性主人公と待ち合わせしているヒロインにモブが声掛けナンパ…”幾花にいろ”先生、風俗店の店長してる男性主人公の密かな楽しみはコンビニ店員なヒロインとの些細なひととき…”余命三週間”先生などなど。没入・没頭できる作品が満載な一冊。