一陣の光さんのレビュー一覧

ワニマガジン社の、作家層の厚さを実感した”comic快楽天”2024年03月号。印象に残った掲載作品は、ヤリたい気持ちが沸々とたぎる男性主人公”おじさん”の元へ兄の娘でヒロイン”志帆”が来て…”えーすけ”先生、女子バレー部しかないのでマネージャーとして在籍している男子主人公”及川”が優しく接してくれるキャプテンでヒロイン”麻宮愛華”へ童貞を捧げる…”オクモト悠太”先生、コンビニバイトな男性主人公”しゅうくん”は同じバイト仲間でヒロイン”橋本心愛”と初デートで童貞を捧げる…”を図さとる”先生、付き合い始めても進展のない男子主人公”秀くん”と後輩でヒロイン”水瀬遥”でしたが彼女が覚悟を決めた大胆水着で迫ってきて…”梅田ノーチラス”先生などなど。今まで存じ上げなかった”を図さとる”先生の短篇は記憶に残る作品でした。

ヒロインの、心の隙を狙ってモノにし、快楽漬けで従順に…な、
骨太なプロットへ、それぞれの短篇で多彩な状況設定を施して
30ページ前後な長尺から、確かな読み心地を読み手に提示する
”さじぺん”先生、”comic失楽天”や”WEEKLY快楽天”にくわえて
”快楽天BEAST”で、掲載・配信された短篇・七作品を収録した
自身・三冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、幼馴染の”享司”に、彼女ができたこ
とで落ち込むヒロイン”由希”から、失恋相談された男子主人公
”織田先輩”は、かねてから狙っていた”由希”をモノにするため、
彼女を押し倒す…な、短篇「失恋オオカミ」。処女だったカラ
ダへ快楽を刻み込み、巧みに仕込んでゆく”織田先輩”が記憶に
残る、作品でした。
読んでいて印象的だったのは、30ページ前後の長尺を活かした
重厚だけど、くどくなく、後口の良い読後感。骨太なプロット
なので、もたれそうな読後感に陥りそうですが、そこは老練な
”さじぺん”先生、それほど耐性を持たない読み手にも気配りが
しっかりと施されてありました。
重厚なプロットのビターテイストではありますが、苦みを抑え
た、柔らかな甘みが実感できる、老練な読後感を味わえる一冊。

セーラー服、ゆかた、スクール水着……その記号性はもちろん
ヒロインがキチンと着こなしている、と、いうところに”楝蛙”
先生のこだわりを感じました……”comic快楽天”へ掲載された
短篇・九作品をおさめた、自身四冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、男性主人公”春樹”が、お盆で久々の
帰郷。夏休みのプールで、監視員をしていたヒロイン”千尋”が
それを聞きつけて……な、短篇「夏が終わる」。ずっと抱き続
けてきた”春樹”への想いに処女を捧げ、終止符を打つ”千尋”を
切なく描いた、作品でした。
読んでいて印象的だったのは、本巻に収録された各短篇の圧倒
的な完成度。既刊の3rd単行本「恋のち交尾」も、記憶に残る
一冊でしたが、それを軽く凌駕しており、特色のある状況設定
に偏り(かたより)がなく、バランス感覚とセンスの良い、まと
まりを感じました。また、読み手の性癖・性向を熟知していて、
ヒロインがセーラー服、浴衣、スクール水着を記号性とともに、
キチンと着こなしており、”楝蛙”先生のこだわりをヒシヒシと
感じ取れました。
冊数を重ねると、作風の方向性が次第に固定化してゆくもので
すが、”楝蛙”先生は意志を持って、意図的に分散させている感、
があり、次はどの様な切り口で魅せてくれるのかな、と、期待
感を持たせてくれる稀有な作家さんだと思います。単行本とし
ての完成度が際立って高い、読後感が堪能できる一冊。超良作。

ふんわりと柔らかい導入と骨太な状況設定とが、ほかの
作家さんとは異なる個性を感じさせる”燈織ゆぶね”先生、
2022年から2023年にかけて”WEEKLY・快楽天”で配信
された、本巻・描き下ろしを含む、三話構成・一作品と、
前・後編構成の一作品に短篇二作品、二話構成な一作品
を収めた、自身初の単行本。
印象に残った収録作品は、今は、男子部長・”小田”と後
輩女子”椎名”の二人だけとなった”娯楽研究部”。”小田”
の引退で消滅する部活の送別会を提案した”椎名”が用意
したモノは…な、短篇「最後の部室」。普段はジャージ
な彼女のセーラー服姿とカラダをプレゼントした”椎名”
と”小田”との関わりが、今後も続いてゆきそうな結末が、
ホンワカした読後感を残す、お話でした。
読んでいて感じたのは、しっかりとした状況設定が醸し
出す、優しい読み心地。前述した「最後～」や、前・後
編構成「食べにくる隣人」も導入を読んだだけではどう
カラミへ運ぶのかな?と思いましたが、滑らかにセック
スへ移行してゆくので”燈織ゆぶね”先生、なかなか老練
だな、と、感じました。
あたたかで、ホンワカした優しい読み心地と読後感から
”燈織ゆぶね”先生の、お人柄を感じる、自身初の単行本。

本号から、作家さんごとに単話で配信・購読できる仕様になったみたいです…”comic快楽天”2024年02月号。印象に残った掲載作品は、男子主人公”櫂人”が致命的なケガで部活を離脱し腐っていたところをヒロイン”白銀のあ”との出会いで…”ホムンクルス”先生、彼氏にフラれて承認欲求の塊となったヒロイン”南”は露出写真を撮っていたところを男性主人公”理光”に見つかって…”楝蛙”先生、休日出勤上等と仕事の山場を超えた男性主人公”本条”は自律神経の昂ぶりから眠れなくなってしまい見かねたヒロイン”笠原茜”は…”ヨイコノtt”先生などなど。楝蛙先生の4th単行本、配信開始が楽しみ、な、一冊。

耽美的な絵柄が、フルカラー・60ページ超で巻頭を飾り、
200ページ超の特大ボリューム!!!!、の、”ぴょん吉”先生、
”快楽天BEAST”と”裏BEAST”で掲載された、短篇・十三
作品、本巻・描き下ろしの後日譚を含む、二本構成の短
篇・三作品を収録した、自身二冊目の単行本。
印象に残った収録作品は、男子主人公”古間先輩”と遂に
迎えた初体験は、ヒロイン”蒼桜”が、今まで意識しなか
った感性を呼び覚まして…な、本巻・描き下ろしを含む
二本構成の短篇「つぎのひ」。”蒼桜”の攻撃力に、負け
っぱなしの”古間先輩”に同情する?、お話でした。
読んでいて感じたのは、これでもか、と、圧倒的物量で
迫る攻撃力と破壊力。耽美的な絵柄がフルカラーとなり、
ガンガン迫ってくるので、少し高値ではありますが、満
足感はすこぶる高いです。年の初めに、お年玉的な一冊。

祝”どじろー”先生・初単行本。告知を知ってから配信開始を
待ちわびておりました…”WEEKLY快楽天”と”comic快楽天”
にて配信・掲載された、二本構成・二作品と前・後編構成の
一作品に、短篇・三作品を収録した、自身初の単行本。
印象に残った収録作品は、腐れ縁の幼馴染で、あけすけかつ
男友達みたいなヒロイン”戸田ちひろ”へ恋愛感情を抱き続け
ている男子主人公”一馬”。今まで、押さえつけてきた感情が
大爆発して…な、二本構成の短篇「むぼーび!」。”ちひろ”
も”一馬”に対する想いは同じで、お猿さん化する二人を丁寧
に描いた、お話でした。
読んでいて感じたのは、そこはかとなく感じる”師走の翁”先
生テイスト。今は、長篇作品としての、全体構成や読み心地
まで計算されている”師走の翁”先生の、最初期作品にあった
ドタバタ劇風味が感じられ、”どじろー”先生の高度な画力と
相まって、購読して良かった、と、思える、読後感を味わえ
ました。
軽快な読み心地と、際立った画力が堪能できる一冊。超良作。

郷愁誘う絵柄と、少し過激な恋心を緻密に描写・表現する
”仲町まち”先生、”快楽天BEAST”で掲載された短篇・六作
品と本巻描き下ろしを含む短篇・一作品を収録した、自身
初の単行本。
印象に残った収録作品は、ヒロイン”久留美”は、幼い頃か
ら男性器に興味津々かつ、見立てはホンモノで、男子主人
公”塚本”のナニが、彼女の”お眼鏡”にかない、尽くしても
らってはいるものの、一線を越えるコトが出来ず、モンモ
ンとしていたら…な、短篇「先輩の好きなもの」。予想外
に”久留美”は処女で、童貞な”塚本”と初体験。彼女の見立
ては確かで、いきなりイっちゃう彼女と具合が良すぎる彼
を丁寧に描写した、お話でした。
読んでいて感じたのは、少し過激な恋心(シナリオ)を郷愁
誘う絵柄が巧みに中和させ、ホンワカと、あたたかい読み
心地としている点。前述した「先輩の～」でも、ヒロイン
”久留美”の具合の良さを、”塚本”を通し、繊細に描き込ん
でいて、記憶に残りました。
登場人物の快楽・快感が絵を通して伝わってくる、読後感
の良さがひときわ印象に残る、”仲町まち”先生の初単行本。

”comic快楽天”も2024年01月号と、新年号。印象に残った掲載作品は、処女でいることに負担を感じていた”結華”は身近にいた”暁人”と処女喪失・初体験を試みるも…”どじろー”先生、メイドカフェで雑用をこなす”犬石”は人気キャスト”ルゥルゥ”から処女をプレゼントされる…”翁賀馬之助”先生、不慮の事故で亡くなった”沙奈”と”裕太”はサキュバス・勇者に転生して…”シャモ”先生、幼馴染で近所に住むヤンキー”かな”は浮気され落ち込んでいる度に男子主人公”マサ”から慰めてもらっていたが…”背中が尻”先生などなど。年末進行の忙しさをひと時忘れられる一冊。

正統派美少女の可愛い絵柄とは二律背反な、ガッツリ描写が
インパクト抜群な”藤村久”先生、”真激”に掲載された前・後
編構成の二作品と短篇・三作品を収録した単行本。
印象に残った収録作品は、男子主人公”佐野”がバイトの集合
場所で会ったのはクラスメイトなヒロイン”柊柑菜”で、その
バイトとは…な、前・後編構成の表題作「セックスが好きで
好きで大好きなクラスメイトのあの娘」。エッチ大好きと言
う”柑菜”ですが、カラミの相手は”佐野”だけ、という一途さ
が、彼女の魅力を引き上げている、お話でした。
読んでいて感じたのは、正統派美少女ヒロインな可愛い絵柄
とは、二律背反なガッツリ描写。ギャップ好きな読み手には
手ごたえを感じさせる出来栄え。あと、サンプルで確認して
いただきたいのが、カラダの描写力。特にヒロインの太もも
の、肉感的な表現力は”藤村久”先生の、画力の上質さが認識
できると思います。
ギャップ好き諸兄にオススメできる、味わい深い一冊。良作。