さいの目さんのレビュー一覧

10代カップルのくすぐったくなるような
甘酸っぱい物語が詰め込まれています。
巻末のあとがきに「キャラクター、一人一人の
恋愛を成就させてあげたい」と、先生の優しさ
溢れすぎる言葉がありますが、この言葉が
本書の全てです。

そう、「優しい」に満ち溢れているのです。

また、一つ一つの話は独立しているものの、
世界観は共通なので、チョイ役で出てたキャラが
次の話の主人公だったり、セリフの中だけに出てくる
キャラの名前が、前の話の主人公だったりと、
単行本ならではの発見が出来る試みもされており
十分に楽しむ事が出来ました。

優しさ成分が足りてないそこのアナタ!
この本を読んで私と一緒に浄化されましょう!

リリシズムとは叙情的と言う意味で、
叙情的とは感情や気持ちをありのままに表す事。
ですので、本書のタイトルは叙情的な純愛とも
言い換える事が出来ます。

本書の中で印象に残るのはやはり3回に渡って
紡がれる、ハードな過去を持った家出少女と、
50代と思われる独身の部長の肩書を持つ男性との
話でしょう。
何度かの衝突を経て互いの気持ちをさらけ出した後に
結ばれるシーンのなんと官能的な事か。ただエロい
だけでなく、物語として結ばれる事の説得性があり、
読者は大いにカタルシスを得る事が出来るのです。
まさしく本書のタイトルにふさわしい見事な中編でした。

他の短編も読者を楽しませようとする美矢火先生の
心意気が伝わってくるものばかりですので、
手にとってもらいたいと思います。

残念ながら表紙に描かれている様な
女の子同士の絡みはありませんが、
ページをめくると現れる、
カラーで描かれた、浴衣姿の女性による
フェラと自慰シーンに度肝を抜かされます。
この数ページだけでも購入する価値が
あるかもしれません。

さらに先へ進むと、立ちバックからの挿入、
そしてピストンシーンがあるのですが、
そこでスピード感を演出するために、
線をずらしてダブりを生じさせて描かれるなど、
表現に対するこだわりを感じられます。

また違う話の中で機関銃が出てくるのですが、
この機関銃の絵が本当に凄くて、エロシーンよりも
こちらの印象の方が強く残ってしまいました。
銃火器マニアはたまらないのでは無いでしょうか。

なので、表紙に描かれているシチュエーションを
期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、
それを補って余りあるエロと作画演出と機関銃が
存分に愉しませてくれることかと思います。

相思相愛10代カップルの甘くラブい物語が
読み手の心をくすぐられたり、人によっては
えぐられたり。

くすぐられる方は良い青春を送られて来たのでしょう。
私の場合、どの世界線をたどればここに描かれている
世界にたどり着けるのだろうか……と思わずに
いられませんでした。
現実はかくも私に無関心なのか、と。

すみません、私情を挟みすぎました。

兎にも角にも、花札さくらの先生の描かれる世界が
優しさに満ち溢れていて、私ごときは浄化される
だけの存在なんです、と思い知らされました。

さあ、皆さん!浄化されましょう!!

名仁川るい先生の初単行本。

半ば強引に事に及んでしまっていたりする話も
数編ありますが、最終的には誰も不幸になっていない
ところに先生の作風が現れています。

巻末にある、蛇足と書かれたヒロイン達全員の
クロストークか良かったです。誰も不幸に
ならないからこそこういう遊びも出来ますし、
先生の読者に対するサービス精神も伺え、
大変良かったです。

紹介文にある『和』姦という言葉が、
本書を表すのに最適解過ぎて、
それ以上の言葉が出てきません。

和装を纏った美少女達による和姦の数々。
脱いでからが本番の成年コミックにおいて、
絶妙にはだけた、描写するのにどれだけ労力を
かけたのだろうかと思われる和装による交わり。
この作画の凄まじさはぜひ手にとって見て頂きたい
と思わずにいられませんでした。

少女漫画を思わせる様な独特な絵柄に、
S女性がM男性を快楽の果てに誘うシチュエーション、
けれどもM男性はただ虐げられているだけで無く、
それは飛び交うハートマークで一目瞭然という安心感。

ここに収められている短編は、設定の違いこそすれ、
前述の唯一無二な世界観を首尾一貫して描かれています。
ハマる読者はトコトンハマり、拒絶してしまう読者も
また存在する事と思います。

成年コミックの奥深さを知ることの出来る一冊です。

こればかりは個人的なものなのですが、
亜美寿真先生の絵柄が場外ホームラン確定の
ド直球ドストライクなので、作品評価の星が
五つじゃ全然足りなく、レビュアーオススメ!も
一個しか無いのかよ!もっと、もっとくれよ!!
と冷静ではいられません。

なので、本書はどうだ?と聞かれても、
「買え!!」としか言えません。
言えないんです、
「買ってください、お願いします!!」としか!!

マンガやアニメではよく見かけるセンシティブな
デフォルメ表現が、こと成年コミックだと更に顕著に
なることが多いのですが、本書でmogg先生が
描かれているキャラクター達にはそれがありません。
また身体もスラッとしたモデル体型では無く、けれど
太り過ぎず、どれもリアルに感じる程よい肉感の
キャラクター達ばかりで、特殊な状況な話でも
リアリティが大いに増します。

表題の裸の学校は、VRゲームを成年コミックに
落とし込むとこうなると言う実験的な作品ですが、
mogg先生の上記の様な絵柄や描写力により
大成功しています。

しかしこの事が、癖のある絵、とも捉えられるかも
しれません。しかしこの絵だからこそ感じられる
エロさがあるのです。
四の五の言わずに、いいから買って読んで!
と叫びたくなる一冊です。

200ページほどある本編に全4話収録されてるので、
1話辺りのページ数が50ページほどあるのですが、
どの話もダレることなく読み進める事が出来ます。
また、この一冊において登場キャラは同一で、
色んなタイプのギャルを楽しみたい方には
向いて無いかもしれませんが、キャラを深掘りして
読みたい方にはうってつけだと思います。

1話目で二人ともビッチに見せかけ、2話目で
友達を助ける手段としてビッチな役割を受け持ち、
そして3話4話でヤルことはヤルけれど二人とも
本当は純情だった、と言う構成は面白かったです。