作品内容
皆は気にはならないのだろうか? 疑問を持った事すら無いのだろうか?
いつもの自問自答がはじまって、思わず口から溜息が漏れた。
オレは諦めて目を閉じると、意識を頭骨の後方に集中させる。
……そう、ガキの頃もそう思った。
……そう、「道徳」なる授業が大嫌いだった。「相手が嫌がることはやらない」
「相手の気持ちになってみる」「草や動物も生き物だから優しく接する」
そんな事、実践できる人間なんているだろうか?
意識しないでも他人を傷つけることは多いし、
自分じゃないから相手の気持ちなんかにはなれない。
他の生き物に優しく……って、獣肉食ってる人間の、
どこを突っついたらそんなセリフが出てくるのだろうか。
それは対象を人間だけに絞ったとしても……例えば「自活すら出来ない人間」に
募金をした人間はそんなに偉いのだろうか?
横断歩道を渡っている老人の手を取ってあげる、道を聞かれたら教えてあげる、
電車で席を譲る……それも只の「優越感」や「満足感」や
「社会的なプロパガンダ」では無いのだろうか?
……こんな事を日常的に考えているオレに対しての社会的評価はきっと
「狂っている」のだろう。でもそれはオレにとっては「正常」な事なのだから……
それとも「道徳」的には他人は今のオレの立場になって
一緒に狂ってくれる、とでも言うのだろうか?
否、だ。そんなことは断じて無い。
働き、友人の話にあわせて頷き、欠伸をし、眠り、本を読んで、
程々見れる女の子と付き合い、会社の人間と酒をかっくらい、クソをして。
それでも心は晴れぬまま時間が過ぎ、そして……そして、何時かは死ぬのだ。
そこまで考えて欠伸をしながら目を開けた。
作品情報/動作環境
- ファイル容量
- 404.01MB
- CPU
- PentiumII 233MHz 以上
- メモリ
- 128MB / 256MB以上
- HDD
- 450MB以上
- 必要解像度
- 800*600 ハイカラー
- DirectX
- DirectX7以上
- ソフ倫受理番号
- このタイトルはソフ倫審査済みです (受理番号0001118D)