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「BLUE GIANT 9」 へのレビュー

    • 2023年07月10日
      レビュアーオススメ!
      いよいよ終わりが見えてきたBGの9巻は、ジャズフェスを皮切りにして進みゆく彼らと、その周辺の物語を描いています。

      前に進むということは過去を置き去りにすること。
      過去を踏まえた現在であること。
      置き去りにされた過去にも今があること。

      色々な物語が交錯しながら、物語は雪祈がフレッド・シルバー・カルテットに代打出演を果たすところでクローズしていますね。


      この作品の魅力として脇役の情感豊かな描写がありますが、この巻もまた実に色濃かった。

      三者三様で大のことを語る家族の姿。
      雪祈の思い出の人との再会。

      (ちなみにですが、雪祈と彼女の会話はノベライズ「ピアノマン」により多く描写されています)

      そして、大と三輪さんの再会と、別れ。
      交錯していく物語が本当に心を豊かにしてくれる。温かく、切なくて、少し物悲しい。

      そんな中で、ひっそりと収録されたボーナストラック、平さんへのインタビューは実に味わい深いです。
      映画では見えてこなかった彼の苦悩は、原作漫画では克明に描かれています。
      その上で、彼の最後の言葉、「ジャスと出会って確信した事実」は力強く、尊い。


      映画との関連を見ますと、面白いのはジャズフェスでの「N.E.W.」の玉田の演奏。
      これは明らかに、ラストライブでの「We Will」でのソロに引用されていますね。

      音楽のディレクションをしていた上原ひろみさんの提案だったのか、石若駿さんのアイディアだったのか、そこまでは分かりかねますが。
      こうしたところにも映画のオマージュが隠れているのは面白いところ。

      映画では(おそらく尺の都合で)描かれなかった雪祈とアオイちゃんの再会が描かれているのも、対比的です。
      映画ではラストライブには見に来てるのですけども。ここもオマージュ的。

      あと、映画との違いで言えば、フレッド・シルバーの演奏会場もそう。
      映画がコットンクラブに舞台を移している意図は、まあ明らかですね。


      今巻も、実にらしい良作巻でした。
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