シュプリーム8巻は、代役サックスプレイヤーのアーネストと大がギラギラにぶつかる前半。
そして、フランス1のクラブ「サン・ムーン」での、モーレン5とのやり合いが描かれた巻です。
大、ハンナ、そしてラファエル。
各々が時に感情をさらけ出し、あるいは因縁とぶつかり、もしくはプレイスタイルの革命へと歩を進めて。
そうしてバンドとして成長していく姿が描かれた巻だったでしょう。
それにしても、今巻もまたジャズプレイが充実していて、本当に楽しい一巻になっています。
アーニー vs. 大のサックス対決は強烈ですし、演奏における哲学の違いも興味深い。
ただ、ここで大の言っている
“You play for, tommorow? Not today?”
という言葉は、実に彼らしく、この作品のテーマでもあるでしょうね。
質の高さを追求するとどうしてもアーニーのように出し惜しみをする傾向は出てくるでしょう。
それは後半のモーレン5も似たところがあるはず。
ただ、この作品のジャズ観はそうではない。
そのことが示されたのが、この巻の結末なのかなと感じます。
そういう時、絵で説明しようとするところが、この作品の大いなる特徴でしょうね。
言葉で説明できるなら小説で良い。コラムでもいい。
漫画だから、絵で説明する。
無声映画的な演出をする回が少なからずある本作ですが、通底する思想の有り様は大変好ましく思います。
8巻も実に熱く、楽しい一巻でした。
ただ、そろそろ物語の結末も近づいているはずで、それにしてはその辺の動きがこの巻まででは見えづらい印象。
次巻当たりで何か動きがあるのかな、と気になるところですね。