花散ここ 他
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この国では三十年に一度、神への生贄に生娘が捧げられる――生贄に選ばれた家には国から名誉と宝石や高額の支度金が支払われる。
慎ましく母娘二人で暮らしていたが母が亡くなり、ある日クラリスの元にデッセル子爵家から迎えが来た。
裕福な貴族や商家の後妻か妾として使うつもりで引き取られ、その間、メイドを孕ませ捨てた子爵である父はもとより、義母、異母姉フローラからは蔑まれ、子爵家のメイドたちからも虐げられる日々を過ごしていた。
そうして過ごした二カ月後、フローラの代わりに生贄に捧げられると決まった。
引き返すことは許されず、みなが見守る中、決死の思いで神域へと続くといわれる大地の裂け目に飛び込んだ。
――ぽよん、ぽよん。
辿り着いた神域で神が口にしたのは「生贄を必要としていないから帰れ」という言葉。
帰る家もなく、行き場を失ってしまったクラリスは、神であるディエテイルに仕える双子の神使・ルカとリオの口添えもあり、そのまま使用人として神域で暮らすことに。ぶっきらぼうに見えても実は優しく面倒見のいい神に惹かれるクラリスだが、人と神――この恋は叶わない。
人間の体は神域では生きられず、この想いだけを大事にしようしていたクラリスの体は緩やかな毒に蝕まれ始めていた。
前向きで明るい女の子と、なんだかんだで優しい神様の甘々×溺愛な恋のお話。
『捧げられた生贄は、神様に恋して過ごしています(4)』には「第三章 ただ、傍にいたいだけ」(後半)~「女の子だけのお茶会」(前半)までを収録