橘叶和 他
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「今日はもう帰ろう。明日またプロポーズするよ」
「は?」
キアラは耳を疑った。なにせ彼女は今、プロポーズを断ったのだから。
キアラは侯爵令嬢であったが、子どもの頃から弓が好きだった。幼いころからの婚約者の手前、家で隠れながら弓の腕を磨いていたが、その婚約者から婚約破棄を申し出られた。
ここぞとばかりに「ならば私は隣国エルドラド王国へ行って、弓士として身を立てますね!」と、飛び出してしまう。
隣国で出会った狩猟ギルドマスターであるイケメンのレオナルドに一目惚れし、毎日、レオナルドに「カッコイイ」「愛している」と伝える。
元婚約者殿のせいで結婚や恋愛に懐疑的なキアラは、素直な気持ちを伝えはするものの「付き合いたい」などその先の関係はまったく望んではいない。
そんなキアラなので、絆されたレオナルドから求婚をされてもあっさりと断ってしまう。
次第にレオナルドの方がキアラにのめり込んでいき――。
これは、二人のおかしな追いかけっこの話。
電子版書き下ろしでは、一年後の二人の会話を追加。珍しくしおらしいレオナルドとふっきれたキアラの会話とは――?