藤堂美夜 他
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幼い頃の約束は、いったいいつまで有効なのだろう。
入学式にむかう馬車に揺られながらふとそんなことを考えた。
「シオン? 緊張しているのかい?」
声をかけてきたのは、眉目秀麗な公爵家嫡男、レオンハルト・クロムハイツ。その美貌は幼馴染の自分ですら頬を染めてしまう程。
少し、と答えると彼は自分がついているから心配しなくていいと破壊力のある笑顔で言う。
伯爵家次男で特に何の取り柄もない自分が、レオンハルトに優しくされるのは不思議な気持ちだった。
――フリーゲル伯爵家の落ちこぼれ、シオン・フリーゲル。
シオンは代々王宮の魔法官として働いてきたフリーゲル家で、魔力のない子供として生まれてしまった。
そんなシオンも今年十六歳となり、王立ラビリウス魔法学園への入学することとなった。
当然のようにレオンハルトにエスコートされ、桜並木が続く先に見える立派な校舎へむかう。
そこに叫びながら、猛スピードで走ってきた女子生徒をレオンハルトが抱きとめた。
桜の花弁が舞い、まるで二人だけのような世界をつくる。
可憐なピンク髪の少女を颯爽と助ける美貌の王子様。
その光景を見た瞬間、シオンはガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた。
(間違いない。これは『魔法学園の恋は運命とともに』の冒頭シーンだ!)
なんとシオンは当て馬ポジションの友人に転生してしまったことを思い出したのだった。
2人の恋を盛り上げるために、シオンは当て馬らしく振る舞えるのか――
そしてレオの愛の重さにシオンは気づくのか……!?
筆者デビュー作、美麗な幼馴染とのこじらせ&執着BL!