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〈ことば・情報・交易を一手に担う! 江戸と西洋を繋いだ知られざる異才たち〉
江戸時代にあって、唯一の西洋世界との窓口となった、長崎・出島。
そこで、難解なオランダ語を身につけ、通商・外交の現場で一心に働く者たちがいた。
彼らはどのような出自で、いかに学び、職務を務め、“西洋近代”に対峙したか。
歴代の通詞たちの顔ぶれ、通日の語学学習と実務のディテールを、膨大な資料を博捜した著者ならではの解像度で一望。
蘭学史研究の第一人者が、彼ら「阿蘭陀通詞」の実像を丹念に探り出す!
江戸時代の国際交流を深く知りたいひと必携の書。
■本書より
大航海の時代、波濤を乗り越えて現われた南蛮人。全く異質のヨーロッパ文化を運んできた。一転、鎖国と呼ばれた時代を迎えても、その流入は、変わることはなかった。日蘭貿易で継続されていたからである。もたらす担い手が替わっただけだったのである。しかし、「ことば」のうえでは大転換がみられたのである。
「ことば」としては、南蛮人の用いる主としてポルトガル語から、紅毛人の使用するオランダ語への転換であった。来日の南蛮人は難解な日本語の習得に努め、布教と貿易に従事した。日本で南蛮文化の開花をみた。一転して、禁教と密貿易厳禁の政策に転換、その維持、存続のために、来日のオランダ商人には日本語の習得を許さず、替わってわが方がオランダ語の用意をしなければならなくなった。これは、当時の日本人にとっては大転換であった。
本書では、右にみえた転換によって必要となったオランダ語の通訳官「阿蘭陀通詞」の実態追究に努めることにしたいと思っている。
■本書の内容
I 阿蘭陀通詞とオランダ語
一 実務が育てる語学
二 南蛮から紅毛へ、語学条件の大転換
三 阿蘭陀通詞の養成
II 長崎の阿蘭陀通詞
一 通詞採用の任命と辞令
二 職階と役料
三 職務と加役
四 通詞会所と通詞部屋
五 異国船と通詞
III 江戸の阿蘭陀通詞
一 江戸番通詞の参府御用
二 参府休年出府通詞の参府御用・
三 天文台詰通詞の御用と私用
四 江戸からの出張通詞
IV 多才で多彩な阿蘭陀通詞たち
※本書の原本は、2016年に『江戸時代の通訳官 阿蘭陀通詞の語学と実務』として吉川弘文館より刊行されました。