兄の彼女【タテヨミ】（36）

私は彼女から目が離せなかった――。大学生の真（まこと）は、バイト先のカフェのお客である名も知らない美しい彼女に、ついカメラを向けて何度もシャッターを切ってしまっていた。ある日、無断で撮っていたことに気付かれ、言われるがまま撮った写真を見せ連絡先を教えてしまう。警察か示談金かとびくびくする数日を過ごしていたある日、撮った写真を全部持ってこいと呼び出された。示談金の話になるかと思っていたのに、無許可で撮っていた写真を見て一緒に仕事をしようと誘ってきた彼女は、しばらく休業していたカリスマモデルのリリカ（凜々花）だった。自由気ままで高潔な彼女にどんどん惹かれ、カメラマンとして接している内にますますリリカに依存していく真。同姓なのに、と悩むがリリカはその気持ちを利用する。そんな中、実はリリカには付き合っている彼がいることを知った。しかもその彼とは真の兄の真澄だったのだ――。真とリリカ、リリカと真澄、真と真澄、それぞれの関係はどう変わっていくのか……。