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創造的な仕事に役立つ知識は総合的、かつ多面的・複眼的でなければならない。本書では、そのような知識の獲得には、筆者が枝分れ法と呼ぶ分類法と、マトリックス法と呼ぶ相互比較の方法とが有効ではないかと考え、第1章では、そのモデルのいくつかを提示する。
第2章は、第1章で展開した考え方を、酸化・還元を題材に具体化したものである。
第3章では、化学現象に見られる法則性のうち、物質の濃度と化学現象の間の比例関係(もう少し広くいうと、線形性)を取り上げ、線形性が成り立つ場合と、“線形性が隠されている”場合をそれぞれ考察し、どのような場合に線形性が成り立ち、“線形性が隠される”かを見る。そこではランベルト‐ベール(Lambert‐Beer)の法則についても、もう少し深く考える。
第4章では、実験器具と実験操作について考える。またここには、新しい実験器具を考案する際の苦心談として、桐山漏斗の誕生物語を収めた。
第5章では、実験ノートの重要性を、有機ラジカル化学の端緒となった酸素効果の発見という実例に即して述べるとともに、実験ノートのとり方について、いくつかの提言をした。