午後12時の男 他
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緋の時代の末期のこと。魔王が滅ぼされ、永きにわたる戦乱の世が終わりを告げて数か月。
魔王を殺すためだけに改造の限りを尽くされながらも、その役目を果たせず英雄になり損ねた<勇者>クリムは、魔王を殺し英雄となった魔王の娘・ミリアンドールに呼び出され、一つの依頼を受けることになる。
「――クリム様。わたしに子種をいただけますでしょうか」
「…………………はい?」
大真面目に告げられた、正気の沙汰とは思えぬその依頼。
しかしその裏には、世界の命運を揺るがしかねない事実が隠されていた。
魔王は実際には滅びておらず、復活の危機が迫っていること。
そして――魔王の復活を阻止するためには、ミリアンドールの依頼を聞き入れるほかないということ。
なり損ないの勇者、クリム。
心優しき魔王の娘、ミリアンドール。
これは、そんなふたりを中心として巻き起こった、ある英雄譚の最終章。いびつで淫らな、恋物語。