Daftar Ulasan Tikuwabu

　伏線が消化され、二人はそれぞれどん底に落ちるのですが、そこからの一発逆転で物語は大団円、とでも言ったところでしょうか。
　さすがにご都合主義的な側面は否めないところですが、なんにせよ物語は綺麗に納まっていて、やや寂しげな雰囲気が余韻を醸し出しています。それだけに、最後のセックスの屈託のないエロスは、非常に健全でしたね。
　最初からここで終わると決まっていたと思しき納まりの良さで、シリーズとしては非常にバランス良く終わったのではないでしょうか。

　欲を言えば、落ちぶれた二人がもう少し快楽を貪っても良かったように思えますが(エロとしては高まりますし)、そうしますと長々としてしまいますし、これくらいがちょうどよいのでしょう。
　良い終わりでした。

　花乃子とのいびつな関係に第三者が入ってきたことで、物語は大きくきしむ。そういう巻ですね。
　明らかにたとえばタイトルなどを見ていても、殊更純粋げなワードを扱っていて、主人公がそうした普通の状況に惹かれているがゆえに気持ちが移ろうところが読み解けるところです。
　しかし、それは淫靡な罠であって、まあぶっちゃけ読者にはバレバレなわけですけども。だからこそ、この巻はよりエロスの度合いが濃いところでしょう。

　分岐で示されるように、賽は振られたとでも言いましょうか。物語は終わりへと向かう巻なのでした。
　ちなみに淫靡さで言えば、義母の彼女のセックスシーンが一番だったかもしれません。シチュエーション的に言えば、ジャーナリストの彼女とのシーンも良くて、幅広い内容だったと言えるでしょう。

　感覚を研ぎ澄ませて、音声作品等に対する感受性を高めることに特化した作品です。
　ただ、個人的にはこの作品の持つリフレッシュ効果に注目したいところです。

　催眠慣れしている方はわかると思うのですが、催眠作品というものはそもそもがある種のリフレッシュ効果を持ち合わせています。
　脱力を求められて、性的な作品の場合は性的興奮に駆られて程々に疲労するわけですから、終わった後は程よい疲労感と、寝て起きた後の手足の伸びが気持ちいい感覚が得られるのです。
　この作品は、そうしたリフレッシュという点で非常に優れた効果を持っていて、その意味で際立って汎用性に富んでいるように感じられました。
　やる気が出ない、気乗りしないがしないといけないことがある、大事なイベントがあって緊張している、神経が昂って眠れそうにない……そうした状況で使用しますと、良いコンディションを得られるのではないかなと。

　もちろん、催眠作品への導入としても有効ですし、私自身そうした用途で購入・使用したわけですが、もう少し広い意味で汎用性があるのではないかと思った次第です。
　そうした意味で、お勧めしたい一作ですね。催眠作品初心者でもかかりやすい、シンプルな内容ですしね。

　物語の状況は少しずつ動いていて、バックグラウンドで進行している物語が見え隠れしている巻でした。
　例えば第15幕の策略などは、この巻だけではいまいち意味がつかみづらいのですが、先に進行していくことで解決されるところですね。いや、まあ、読めると言えば読めるのですが、ここでは一応秘されているということで。
　主人公とヒロインの隔意というか、すれ違いも少しずつ描かれていて、その距離が次の巻でドンとひっくり返りを生むわけですが、これはさすがに感想としては先走りでしょうか。(シモい意味ではない)
　エロ的には主人公とヒロインのシーンがぐんと減って、それ以外のキャラで間を持たせているようなところがあるのですが、その辺は良し悪しでしょうか。色々なキャラが出てくるのに、ヒロインとしか基本エロのない主人公では幅が足りない、ということはあるので。

　次の巻へと繋がる、繋ぎのような巻でした。物語として読む場合は必須ですが、エロだけ読むなら必須とまでは言えないかな?
　ジャーナリストさんなんかはエロいけど、ヒロインが見たい場合はやや足りないかもしれません。

　社会人主人公が不意に背負ってしまったウン千万の借金のカタに、ヒロインの「友達」になることを強要される物語です。
　この巻では本当に翻弄されていて、まともに仕事もできない状況に追い込まれている彼が、少し心の交流を持つところで物語は閉じています。それにしても本当にイライラさせられるくらい主人公は振り回されていて、それだけにエロシーンでのある種の逆転的な状況(ヒロインはその時だけ妙に素直)は非常にエロい。
　表紙詐欺ということもなく、全編にわたって綺麗めの絵柄で、大変好みでした。ただ、その意味でエロシーンも全体的に綺麗なのは好みが分かれるかもしれませんね。綺麗すぎる、と感じる方もいるかもしません。

　物語的にはシンプルですし、それだけにエロシーンも十二分に楽しめるので(連載一回ごとにきちんとエロがあるのは、こうした作品では当然なのかな?)、総じて良い作品だと思います。

　そうとしか言えない、すれ違いの苦味と、成り行き任せの苦しさが描かれた後編でした。
　しかし、その中にも、彼が持った心の交流が次へのステップへと進んでいく力になっている。落ちどころは快いものではなかったわけですが、それが次への糧となる。
　それこそが「過ち」なんだろうなと、そう思わせる良い物語でした。痛みを伴った物語ですが、痛みを伴ってなお、良い物語と思わせるだけの力がありました。

　エロという点で言えば、彼が決断する直前の朝雛とのセックスが一番エロかったですね。堕ちていくところに耽美さがある。
　それだけにもう一つシーンを加えてほしかった気もするけど、物語としては一つに止めたことで良いテンポを保っているし、痛し痒しであるなという感想を持ちましたね。
　痛し痒しであるということは、つまり程よいということでもあるのですが。満腹というのは過剰ですから、本当にこの構成で良かったのだと思います。

　改めて、良い作品でした。自信を持ってお勧めできます。

　この作品については、そのストーリーの残酷さが特に評価されているようなのですが、個人的にはそのエロスの強さを評価したいところです。
　エロとストーリーは不可分一体の関係ですが、この作品は特にストーリーが強く淫靡さを強調しているんですよね。
　どうしようもないやりきれなさが、セックスという形でぶつける。そこに手ごたえはあるのに、賽の河原の石積みのように儚く砕けるわけです。
　だからこそ、エロい。素晴らしい作品です。

　読みごたえについても強く評価できるところですが、「抜ける」「エロい」という要素もまた高く評価できることを改めて強調したいなと、そんなレビューでした。
　ヒロインがね、わりと普通にエロいんですよね。絵としても、キャラとしても。