作品内容
絶望の問題作・戦慄の第2弾。魔女と魔女の邂逅の末に…「拷問して殺すって決めてるから」。ドキドキとワクワクの波状攻撃開始。
人魚災害によって横浜の過半が崩壊してから、三年以上の月日が流れた。
毒によって超常の力を得た魔女たちは、
野放図にその力を振り回しては多くの被害を出していた。
魔女狩りも日災対も消えた日本で、
猖獗する魔女の愚挙に歯止めを利かせるものはなかった。
人魚に被災し両親を喪ってから心を閉ざしていた少女、
虹彩の魔女蛞頭巳蛙は、肺胞の魔女に襲われる。
命の危機に陥ったミアを救ったのは、
拷問の魔女を自称し魔女を惨殺して回る少女、髄鞘の魔女泥雨有果だった。
怒りに衝き動かされて苛烈な暴力をふるうアリカの――
拷問の魔女の姿に、ミアは、恋をした。
そしてミアは、アリカにすがった。
「わたしを……相棒にしてください」
アリカは、応じた。
「いっしょに殺そう、ミア」
傷つき歪んでしまった真冬の都市を、アリカとミアは狩場と定める。
傷つき歪んでしまった魔女たちを、付け狙い、追い詰め、拷問し、殺していく。
怒りによって固く結ばれた、拷問の魔女として。
一方で、人魚災害を引き起こした右目の魔女と魔女狩りは、
配信者として大成していた。
あたたかな家に住み、愛する人が傍にいて、何もかも満ち足りながら、
それでも魔女狩りは罪の意識に苛まれていた。
その身に刻まれた不死の毒は魔女狩りに自ら死ぬことを許さず、
魔女狩りの心は、ゆっくりと擦り切れつつあった。
右目の魔女は、私は、誓う。
なにもかもが終わってしまった世界で、
どこかにまだ残っているかもしれない私たちの物語を、見つけ出すと。
私は君を、無価値な生に縛り付けてしまったのだから。
私は君に、恋したのだから――
街も心も損なわれた横浜で、被災者たちの群像劇が幕を開ける。
中野 在太(ナカノアルタ):静岡県在住。『康太の異世界ごはん』(ヒーロー文庫)でデビュー。
とよた 瑣織(トヨタサオリ):ライトノベルの挿絵やゲームのイラストを手掛ける人気イラストレーター。ライトノベル作品に『棺の魔王』『魔王の処刑人』(共にヒーロー文庫)、『伝説の勇者の伝説』など多数。