作品内容
旅人くんは休まず歩き続ける。ほんの少ししか変化はない。それはぼくらの人生に似ている。昨日と今日は似ていて、おなじような日常が連続しているようにみえるが、実は昨日と今日は全くちがうのだ。そして明日は予測できない。旅人くんは砂時計の砂の砂漠を旅している。現在コミックと呼ばれているストーリー漫画とはまるでちがう。さりとて4コマ漫画や8コマ漫画といった種類の漫画でもない。永島慎二独りだけの世界だ。なぜこの世界に辿り着いたのか、それはぼくには解らない。絵で描いた永島慎二の人生の詩であり哲学だものね。旅人くんは一種のつぶやき漫画でもある。ひとり言を言いながら旅している。たとえば「時の流れがさ、しばしばおいらの歩みより早いことがある」なんて言う。ぼくもいつのまにか世間とズレてしまった。(やなせたかし)