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冬物語というタイトル通り、冬に関する心霊的でユーモア溢れる短編集。

今作は比較的ユーモラスな面白い話があり、エンタメ性が強く、楽しく読むことが出来ました。

特に良かったのは

・1分間という産まれた時間の差が、学級差を産み出す切ない片思いストーリーの「1分間の距離」。

・トナカイの気ぐるみを着ながらサンタのアルバイトをする姿がユーモラスで、2人の掛け合いがバツグンに面白い「聖夜の送りモノ」

・子供同士の冬という季節を巡る戦いと、それを見守る校長先生の優しさが読んでいてホッコリさせられる「冬戦争」

・ジャパニーズ・ホラー。特に幽霊などが題材の「心霊映画」のようなじわじわ迫って来る恐怖の演出が上手い。そしてそのじわじわ来る感じに独特のエロスも感じてしまう「哭鳴」

そして雪女と狐娘とオヤジの3角関係がシリアスムードや真面目ムードをいい意味で完全に破壊してくれる。「雪狐らぶそでぃー」

序盤でシリアスムードになりながらも、最後にはドッと良い意味で肩の力が抜けて笑える読後感。冬に読めて良かった短編集です。