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シリーズのラスボスと銘打ち、満を持して登場の若手実業家であり社畜の温床(?)である会社の社長、環さん。

心の声をだだ漏れさせながら、更にイヤイヤ期の駄々っ子をも思わせる天真爛漫さ。
絆されてしまったら思いもよらない角度から振り回され、そのあざとさの裏側に潜む本心でこちらの身も心もごっそり懐に囲っていく、とんでもない策士でした。

社長としての環さんへの、そして彼が手掛けるからこそ成り立つ会社へのリスペクト。
仕事と感情の間でもがき、逃げ道を探すことしか出来なくなってしまっていたところに囁かれる「悪い子」への甘いお誘い。
彼女の性格を十二分に理解し、正攻法では絶対に自分に堕ちてくれないとわかっているがゆえのこの悪い子育成術が、あまりにも狡い。

今の君が悪いわけじゃない、でも悪い子になれば欲しいものが手に入るのだと、限界突破した心へ脅威の浸透力を放つおねだり指導。
「最初で最後だから」なんて言われたら、拒めるはずがないんだよね。

お互いに悪い子に成り果てて、それなのにたくさんいいこいいこもし合って。
そうして雁字搦めになった想いを少しずつ解きほぐしながら、混じり合い彩りに満ちていく二人の想いが、とても丁寧に描かれていたように思います。

「ねぇ俺のこと、好き?」

頑なだったヒロインちゃんの心を溶かすこの環さんの言葉には、胸がぎゅーっと締め付けられる思いでした。

そして完走後のお楽しみでもある特典は、今回も盛り沢山!
自分が受け取った解釈への答え合わせが出来たり、シリーズ歴代キャラの影のチラ見せが嬉しい。
音量への数多の配慮で、SEこだわり勢も自分好みに安心して聴いていただけると思います。


単作としても問題なく楽しんでいただける作品です。
シリーズのファンの方には、改めてまた全て通して聴きたくなってしまうような充足感を味わっていただけるのではないかな、と。

とても大好きなシリーズでした、本当にありがとうございました!