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「ランタン街に咲く魔女の花~禁断純愛物語~×束縛×依存×中毒」 へのレビュー

ブルーの存在自体が、美しくて儚い花のようでした

2023年07月05日   鞠緒 さん

このレビューは参考になった x 23人

ランタン街と呼ばれる花街の中で男娼として身を置くブルーと、花屋の娘の恋物語。

小さな小さな箱庭の中に囚われ、自我を殺し考える事を諦め、与えられたものだけを受け容れて生きてきたブルー。
自らが花となり身を売る彼が、花の名前なら覚えられたり、花なら食べられたりするのって、その存在自体が花の妖精のようにも思えてきちゃうよね。

「牧場主と家畜と世話係、それを買い付けにくる客」

彼自身が置かれている状況を冒頭でこんな言葉で表すんだけど、あまりに言い得て妙なそれが「当たり前」だという彼の常識に、思わず切なくなっちゃうんだよなぁ…

そしてブルーとの出会いの中で1つの鍵となる「魔女の花」の存在。
彼にとってはなくてはならないもの、けれど決してあってはならないもの。
その花が図らずとも二人の距離を縮めていくのだけれど、ブルーが理性を取り戻すきっかけとなったのが彼女の手だったという事実が、あまりにも深くて心に刺さりました。

個人的にこの作品の中で一番心に残ったのは、街中でブルーが客寄せをするシーン。
自身の美しさと甘い言葉を惜しげもなく振り撒き、そんな彼に魅せられた人々がどんどん吸い寄せられていく。
そんな中でキラキラと微笑むブルーの姿が、まるで映画のワンシーンの如く目に浮かぶようでした。
けれどまた仕事へと戻っていく彼の背中を見送る事を思うと、その美しくも儚い時間に胸の奥がチクリと痛む一瞬でもあるのが哀しい。

作中の雰囲気的に、陽の目をみれない暮らしが待っていたり最悪バドエンも有り得るのかなと思っていたのですが、その点に関してはハピエン好きさんも安心して聴いていただいて大丈夫かと思います。

「ブルー」という存在でしかこの世界で生きる術を持たなかった自分と、これからの自分。
どちらも引っくるめて受け容れ一緒に前を向いて歩いていける最愛のその人と、手と手を取り合い幸せに過ごしてくれたら嬉しいなと切に願います。

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