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「過剰分泌ドーパミン、クーラーの効かない部屋。」 へのレビュー
2023年08月07日 鞠緒 さん
このレビューは参考になった x 89人
注意書きがありますが、これから聴かれる方には多少なりとも心積もりをしていただきたい。 その後の展開を考えると、嘘のように穏やかな冒頭のドラマパート。 tr2からは階下の見えない段差を踏み外したかのように、底なしの闇へと呑み込まれていきます。 作中で幼馴染のこーちゃんが所持するお薬。 描写的にはキメセクに比重が置かれているものの、呂律が回らなくなりながらトび始め、裏腹に襲い来る不安感や幻覚に感情がジェットコースターのように走り抜けていく様があまりにリアル。 ダメになった自分のせいで、同じようにダメにさせてしまう大切な存在。 下劣で鬼畜な快楽を振りかざす事でしか心も身体も繋ぎ止める事が出来ない中での、切なる想い。 救いようのないところに救いを感じたり求めたりする厨二心をもってしてもわりとしっかりとダメージを受けたので、負の感情に引っ張られやすい方は少し注意が必要かもしれません。 けれど、どれだけ心が抉られようが情緒を掻き乱されようが、それでも聴いて損はなかったと思わせてくれるシナリオと構成力の高さ。 そして、この世界観へと強制的に引き摺り込んでいく、恐ろしいまでの猿飛さんの演技力と表現力。 蝉の鳴き声も掻き消え、もうヒトとして形を成しているのかもわからない中。 それでも、何よりも大切に想われているのだと心に深々と刻み付け抉ってくるこーちゃんの言葉には、込み上げるものがありました。 壊れかけのエアコンが完全に動かなくなるのと同時に、一筋の光すら入り込む余地のない闇の中に堕ちていくような絶望感がたまらなかったな… 同梱のSSは、この儚くて脆い関係性へ縋る二人の痛みと救いのなさを更に味わう事が出来るので、本編完走後に是非。 一度噛み合わなくなってしまった歯車は、どれだけ後悔をして巻き戻しそうとしても、それを嘲笑うかのように回り続けてしまうんだね。 そんな諦めにも似た自戒の念で、心を滅多刺しにされた作品でした。
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