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「朝霧〜桜の道の見届け人〜」 へのレビュー

オススメ! 一国の「帝」として、そして一人の「男」として

2024年02月11日   鞠緒 さん

このレビューは参考になった x 107人

香凛ちゃんが帝である湖珀様の元へと輿入れし、そして朝霧と想いを交わし合ってから一年。

「朝霧~高貴な閨の指南役~」の続編作品となる今作。
一年という歳月が流れる中で国を背負っていく立場として求められる事や取り巻く環境、そしてそれを踏まえた上でそれぞれの中に生じていく心の変化等が大変細やかに描写されており、作品の世界観へ惹き込んでいってくれます。

湖珀様視点メインでストーリーが展開していく中で「彼」という人物の人となりを十二分に堪能し、味わい尽くせる内容となっているのが、湖珀様ファンとしては嬉しい限り。
まるで聖人君子かとも思えるような器の大きさで二人を見守る立ち位置にいた彼がみせる人間らしさ。
寛大な心で許容する裏側で燻っていた香凛ちゃんへの想いをまざまざと見せつけられると、その愛の深さに胸が熱くなります。
それと同時に、前作での湖珀様の言葉一つ一つが本当の彼を押し殺した「帝」としてのものだったのだな、と無性に切なくもなり…

きっと誰よりも自分の立場を一番に考え、己の欲に対して「諦める」ことを当然のように繰り返してきたのであろう優しく賢く、そして潔い湖珀様。
自分の中での想いが進化していく過程で、「絶対に手に入れた上でその先どうするのか」を選択できるようになったのは、帝としても一人の男性としても新しい彼の強みになるのではないのかな。

湖珀様が己の欲を隠さなくなった事により、前作よりシチュエーション的にも精神的な面でも、NTR要素が強めとなっているように思います。
けれどだからこそ三者三様の愛情、嫉妬、情欲など様々な想いが生々しくぶつかり絡み合い、煽り高め合っていく姿が素晴らしかったなぁ、と。
画力は言わずもがな、こちらの作者さんはそういう感情の揺れ動きの描写もとても巧みなのが作品の魅力のひとつです。

「誰目線で見るか」で作品への解釈や想いも変わってくるのかな、と個人的には思いました。

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