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「結局私は愛されてセックスがしたかったんだ」 へのレビュー

オススメ! 愛の雪が浄める過去の私

2023年05月15日   TUKUNE さん

このレビューは参考になった x 9人

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とても丁寧に描かれた、女性視点からの、男女の間の断絶と心と肉体を通じて通い合う心情を描き上げた物語。

普通の本好きな学生だった主人公。●●から受けた突然の性的暴行で、人生の道を踏み外してしまいます。家出の後、援助交際と愛人で糊口を凌ぐ8年の歳月。大元に植え付けられた男性への不信感に加え、基本屑しか寄って来ない環境で、男どもの嘘と身勝手な執着に振り回されて、男性不信は募るばかりです。
今日も雪の降る中、家の前で待ち伏せしているストーカーから逃れてさまよう彼女は、高校時代の図書委員の後輩君とばったり出くわすのでした。

後輩君は、小説家になっています。執筆中の作品のなりきりで、和服を羽織って和風のお屋敷に仮住まい。雪で転んで捻挫した、行くあてもない彼女を保護しますが…

男性不信と裏表の「汚れた」自分への嫌悪、凝り固まった思い込みを再確認するかのように悪い環境をわざわざ選んで身を置いているような、どこか自傷的な彼女。そんな強張った心を解きほぐしてゆく、彼の思い出語りと諸々の告白。逃げ腰だった彼女が、だんだんと絆されてゆく流れで読む側も盛り上がります☆

囲炉裏の和室、外は雪、閉じられた空間。そこで繰り広げられる二人の交合。しっかり頁数を使った丁寧な愛撫、言葉でほぐされ心で濡れる描写、描き込みを抑え気味で無駄の無い、絡まるボディーも蕩けた表情もしっかり捉えた描画、素晴らしいものです☆
彼を受け入れて感じ乱れる彼女の内に、過去の全てが収束し解消されていく語りと構成のカタルシス…

文学的とさえ言える手触りの、静かな舞台とドラマティックな心情の対比も美しい物語。お薦め☆

ラスト「戸棚の中には●と●マ」は、ここで話を丸く終わらせない含蓄ある〆でした☆
男の欲望の、時に破壊的な一面も現実で、リアルの男女関係は、大元で一緒に居たいなら凸凹の擦り合わせですからねえ…

まぁ、全力で嫌なら、彼、使わないからきっと。大丈夫。

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