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「八禄荘‐家檻と花辱の嫁‐」 へのレビュー
2023年07月01日 TUKUNE さん
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『dog eat dog era』シリーズの、鬼遍かっつぇ先生の新作。 外界から隔絶された和風のお屋敷を舞台に、情念を内に秘めた青年が、意中の少女をじりじりと誘い開花させるお話。 ゲーテッドタウン風の設定の、昭和戦前のを思わせる街並み、施主の地主に撰ばれた者だけが住める別荘地。そこでは住民の子弟の教育にも不文律があり、子供は学校には通わせず家庭教師を付けるのが通例です。 女の子はお屋敷にひとり。従順無垢な箱入り娘。親からの連絡は間遠な手紙だけで、学校に行きたいという希望にも、はかばかしい反応はありません。 そこに突然訪れた、涼やかで端正な見目の青年。親から依頼された住み込みの家庭教師を名乗る彼は、少女が制止する暇もなくすらすらと、渡されている合鍵で、玄関を踏み越えてきます。 和風の調度に周囲の田園、時が止まったような世界で、ゆっくりと関係を育む少女と青年。少女の孤独を癒す平穏な日々は、止まらない心の傾きも孕んでいます。 そしてある日、親が話してくれない彼女の関心事を知っているという彼は「引き換えに『彼女の事』が知りたい」と提案してくるのです。 ~その誘いが何を意味しているのか、少女はもう分かっています。 未知の世界に足を踏み入れようとする少女の懼れと緊張、そして期待。「自分が許可しないと開かれない」少女の自室の障子の引き戸。建具の障壁と少女の心の階梯をリンクさせた演出が、とても効果的です。 必死で深いキスを受け入れる少女の、いたいけな小さな舌を強調した蕩けた表情(!) 回を重ねて、覚えたての期待を疼かせた「自分からお誘い」にはぐっときました☆ 隔離された無菌培養の少女が、青年の性戯の快感に染め上げられて喘ぐ様は 何とも淫靡で味わい深いものです☆ 事情あって青年が自らに課しているのは、期限付きの光源氏計画。その結末と行く末にも興味津々ですね☆ 閉じられた空間で揺らぎ熱する少女と青年の濃密な刻。良いお話でした☆
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