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「逝き神様の生贄婚 祀り編 CV.久喜大【がるまに限定SS付き】」 へのレビュー

因習に縛られ堕ちていく男と女

2024年05月20日   3mmm さん

このレビューは参考になった x 1人

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「濡羽の家の祟り婚」の後継シリーズということで購入しました。

古い集落における因習サスペンスの要素が強く、前作に比べるとオカルト感はやや薄いかなと感じました。

東塚家の当主・和臣さんの祝言から話がはじまります。
相手は渡世家の長女で、和臣さんのいとこですが、彼女は和臣さんに憧れを持っていました。

憧れた男性と結婚する…ヒロインとしては天にも昇る気持ちだったでしょう。
これからの新婚生活を夢見て、幸せの絶頂だったはず。
この日まで。

東塚家の男は村の生贄。そして、その妻は生贄を厄災から守るための「生き神」様として祀られ、祈祷所に閉じ込められる。

なかなか狂った因習です。
現代的な人物かと思いきや、和臣さんはしっかり因習にとらわれていて、ヒロインを祈祷所に閉じ込めてしまいます。
天国から地獄、とはまさにこの事です。
甘い新婚生活どころか、日中は和臣さんのために祈り、夜は和臣さんと激しく交わる。
行動を制限され、会うことができるのは夫である和臣さんだけとなれば、精神もおかしくなりますよね…。

ただ、救いがあるとすれば、狂った世界の中だとしても、和臣さんにはヒロインへの愛が芽生えていたというところでしょうか。

和臣さんは、ヒロインを愛してしまえば「生き神」として祀ることができないと考えたがゆえに、彼女を愛さないようにしようと考えていたようです。
しかし、「愛すれば祀りたくなる」と彼が語ったように、ヒロインを愛してしまった。
そして、狂って閉じた世界の中で、互いに依存する生き方を選択をする。

迫り来る厄災の音を聞きながら、狂ったように交わる姿は哀れで切ないです。

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