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「逝き神様の生贄婚 簒奪編 CV.河村眞人【がるまに限定SS付き】」 へのレビュー

新たな「終わりの始まり」は呪いか愛か

2024年05月26日   3mmm さん

このレビューは参考になった x 1人

他3作品の主人公は東塚家の男たちでしたが、ここにきて「生贄の花嫁」を捧げてきた渡世家の男性が主人公になります。

義兄である和臣さんからの依頼を受け、誠くんは義理の叔父である和人さんの忘形見を探す事になりますが、その過程で「鵺告ぐ編」の伏線が回収され、ヒロイン母の境遇があぶり出されます。
和人さんの「宝」から、彼が前作冒頭で「なかよし」した人はヒロイン母だったことが判明し、あまりの悲惨さに、娘であるヒロインが知らない事だけが救いだと感じました。

誠くんとヒロインの出会いだけ見れば、運命を感じたくなるような話です。
孤独な自分を探しにきたのが年下の純朴な青年で(「十三の差」というトラック名がありますが、年表を見た感じ10歳くらい違う?)、その青年から愛されるなんて、どっかのラブロマンスです。
寂しさに耐えながら生きてきたヒロインにとっては、素直に嬉しい出会いだったでしょう。

亡くなったお姉さんを慕っていた誠くんは、夫であった和臣さんや東塚家を憎んでおり、今作のヒロインを騙して東塚家を乗っ取ろうと画策していましたが、自身と同様かそれ以上に孤独なヒロインに惹かれ、本当に愛してしまいます。

このシリーズの根底に流れるのは「孤独」と「愛」。

「孤独」から逃れるためにヒロインは「生き神」になり、誠くんはその夫として「生贄」になる事を選びます。
ただ、他の主人公たちと違うのは、自分たちで立場を選び、「何があっても生き延びる」という気持ちを持っている事です。

今までの「生贄」は、運命を静かに受け入れ、祝人村の厄災を受け止め犠牲になる事だけを考えていたのに、ここで「生きる」という気持ちが芽生えた事で、妙な明るさと強さを持って物語は終わります。

最終巻という事もあり、「海辺の洞窟」「祈祷所」という共通の場所も出てくるため、過去の巻やエピソードを思い出す舞台装置にも事欠かず、「終わりの始まり」に相応しいお話でした。

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