マコモさんのレビュー一覧

彼は間違いなくヤンデレさんで、可哀想であり矜持もあるヤンデレさんで、確かに痛いことはされません。

ただちょっと、モラルハラスメント=モラハラのケがあるので、そういうやりとりにトラウマのある方は注意が必要です。
具体的には、一方的な罪を作り上げて贖罪を求めてくる描写があるので……思考回路がリアル過ぎてゾクゾクしました。

ただ、彼はそんな自分が大嫌いで、何とかしたいと思っていて。
その自己嫌悪をヒロインちゃんに転嫁して、多分自分が今まで言われた事をそのままヒロインちゃんに言ってるんですよね。
もしかしたら依存症の原因も……そんな風に考えちゃうくらいリアルです。

どうか彼を見捨てないであげてくださいね。

カニバとドアマットが苦手なので、入門編としてまずはこちらを買わせて頂きました(自称)ソフトMです。
どんな酷いことされるんだろうとドキドキしたものの、甘い、すっごく甘い。
愛を理由に酷いことされたいドMには勿体無いくらい甘い。
「愛があるなら何やってもいいよね!」もない。
悪いことしている自覚がある。ズルい。そんなの許しちゃう!!
愛はあるけど…でなく、本当に愛しかない。愛を免罪符に散々踏みつけられたいMには向かないけれど、死ぬほど愛されたい人には強くオススメです。

確かに他の方のおっしゃるように愛がない。

あるのは語彙の少ない代わりに切れ味抜群の罵倒と、興味のない人間や、ちょっとアホな犬に向けるような冷たい目。

だがしかし、そこに関係性を見出すのがドMもとい読者の仕事なので最終的には。
「そんなに罵倒してもたつものたつんだなぁ」
「自分の言葉にも興奮してんだろうなぁ」
「汚くて引いても身体は正直なんだなぁ」
「分かるよ、ブスで足りないけどそれが興奮すんだろ」と。
「身体は正直だなぁ」と、素直でない○ども達を見守る保護者のような目線に。

そうして、二人の愛着の種類がそれこそ、足りない愛犬やペットや学級で飼ってる生き物を見るようなものなんだろうと悟り、何だか微笑ましい気持ちで読了。

貧相で哀れなものに興奮するの凄いわかるよ三橋くん。
ゴテゴテに飾って服の中で手足が泳いでたりするの最高だよね。

とりあえず林さんの健康が心配です。二人のためにも本人のためにも長生きしてほしい

敢えて他の人が褒めそうに無い榊くんの、妙にリアリティがあるような、逆にダサ過ぎて現実みが無いような所に目を向けて褒めてみようと思う。

もう榊くんの、社会面のポンコツというかダサさに磨きが掛かってるというか、恋の力で総合力が良くなった分、些細なアイテムや言動にこそダサさが集中してるの最高です。
スパダリとは行かないし、まだ身に付いて無い感じのリアリティというか。

見た目は垢抜けたのに隙を見て出てくる、面ファスナーとツヤツヤなナイロンの財布、家庭科で作ったドラゴンのエプロン(よく未だ着丈が合ったね)。
多分真のダサさとは物持ちの良さを兼ね揃えているに違いない……ある意味で丁寧な暮らし。

それらの破壊力が、夜の有能さを高めるギャップアイテムになってるの最高に良かったです。
それで恥ずかしがらない先輩のフラットさというか懐の深さが「だから榊くんを評価できたんだろうなー」となるのがまた。

あとエッチシーンも、断面図でなく、ち○この状態で気持ち良さを描き分けるの匠の仕事だなと思いました。
断面図も好きだけど、ち○こが幸せそうなのほっこりする。

ヤンデレ大好きですが、今回は生半可な覚悟で聞いてごめんなさいとなりました。

にーにめちゃくちゃ居そう、都会を歩いてたら結構な確率で居そう。にーに多分実在する……!ってなりました。

なんというか、好き過ぎて状態がおかしくなったんじゃなく、元々『素質』のある人がたまたま私のにーになったんだなって感じです。

何かを見て見ぬ振りする為とか、何かから逃避するためとかじゃなくて本人の中でちゃんとシナリオがあり、筋が通ってるのがめちゃくちゃ恐ろしいです。
ちょっと重めに愛されたいな、では済まないこの境地。

演技力と脚本力に完敗です。

まず最初に言っておきたいのは、ヒーローは清々しいほどのクズです。嘘だらけの悪魔です。
甘さとか一切ないですし改心もしません(そうなった理由を省けばヒロインも基本真面目系クズです)

しかし、その本音と嘘の使い分けの猫撫で声と哄笑の使い分けが素晴らしいし、クズからしか摂取できない栄養があるので、それもまた良しです。

しかし、おまけのSSを読むとそのクズのイメージがガラリと変わります。具体的には「以外と勤勉なクズだな」になるというか。

恐らくヒーローのクズムーブは『祈り』なのだろうなと何となく思います。
自分のような人間が破滅したり、ヒロイン達のような真面目な弱者に救済が訪れて自分が退場させられるのを夢見ているのではと思うのです。
多分ですが、弱者が救われて欲しいし、奇跡が起こるのをこの目で見る為にヴィランを続けている系です。

なので、薬漬けの所からは難易度高いですが、この話をユーザーの頭の中でハッピーな方に引っ張るならば勝機はそこだと思います。

がんばれヒロインちゃん。廃人になる前に。

どんなに好きな作品も、数ヶ月聴けば展開を覚えてしまって飽きて来る飽き性です。
しかし、これだけは10年近く飽きない。少なくとも年2回は聞いている。特に大きなイベントのある話でも、続編のある話でもなく。
AMRSやダミヘが当たり前になるより前の作品なのに、非常に安心できて中毒性がある。今夜は何を聴こうか迷った時に、必ずここに戻って来てしまう。
恐らく、作品中に滲む愛情に心溶かされてしまっているのだろうなと思う。疲れたら戻って来てしまう。

ページ数を見ないで読み始めて、「えっ、まだ続いてしまうの……?」「そんな所を掘り下げるのに、ちゃんとページ割いて下さるの??」と、一瞬手が止まる事しばしば。

最後は尊さとそれに負けないえっちシーンとシナリオのボリュームにノックアウトされました。
何かもう二人とも「漫画のキャラクター」というより「多少の知り合い」って感じさえします。

大分偏見ではありますが、R18同人は大体テンプレが決まっていて、そのテンプレに沿ってキャラクターの人格が完成しているので。
こんな風に、互いに何を目指しているかとか、何がどうなって行く関係なのかとか、未完成な人格の複雑な葛藤が描かれているのは本当に凄いと思います。

二人がどうなって行くのか、気になり過ぎて続編が見たいです先生…!

と、相手に優しくじわじわ絡め取られて行き、少しずつ抵抗する気持ちを無くしていくらぶえっち。

相手は多分興奮して頭に血が登って。
優しく、それでいてめちゃくちゃな事を言ってるのに、妙な迫力と説得力がある。
そしてこっちも興奮して理性が薄くなっているので、繰り返し言い聞かせられると、とっても悪いことをしているような、その通りのような気になっていく。

その、第三者から見れば「いやいや」となるやり取りが、本人たちが理性の飛んでいる時の行為のリアリティに繋がってくる。

また、バックのハエトリソウは「獲物が2回刺激を与えると葉を閉じる(捕食する」習性のある植物。
その「2回」を探しながら聴いてみるのもまた良しでは。

……と、某アニメのお嬢様のように、開始から思わず叫びたくなるような、電波であり、哲学的であり、軽快なやりとりで進むお話です。

どこか『ハ○レット・シンドローム』を思わせ、helloworldのようなオチが付き、デイジーベルが聞こえそうな、マニアには堪らない仕上がりでした。
または、兄妹という関係もあり、どこかドグラ・マグラも彷彿とさせて、非常に文学的。

性描写は淡白ですが、口上の滑らかさと見事さに何度も聞きたくなってしまう。

入力電波も、内容にある程度の整合性があるので、『本物』の受信機を知っている方も、美しいエンタメとして楽しく聴くことができるかと思います。

お兄ちゃんが所々で正気に戻る理由も、オチまで聴いて納得しました。
果たして、リスナーである『私』は本当にこの世に居たのかどうか……お兄ちゃんの電波だったのではないか。

もしかしたら、この世の方が電波に溢れた残酷な世界なのかもしれないという気分になります。