双樹的赏析一览

自分でタイトル書いておいてなんですが、わざわざ親友とか恋人とか名前つけなくてもお互いがかけがえのない相手だと思っていたらそれでいていいんじゃないかなーと思います。

ただ名前をつけた方が周りには説明がしやすいし、言葉にしていないけどそこに確かにあったと感じてたものも、気持ちが揺れて信じられなくなこともあります。

人は信じたいものを信じるので恋人と呼ばない関係ならそれは恋人はいないということで、なら告白してもいいよね、となるわけです。

周りから聞かれて口から出した言葉で、自分たち自身の気持ちを縛って遠回りしてしまった2人が、本当の意味で向き合うお話。2人が自分達の関係を見直す勇気が持てて本当によかった。

不憫受けです。

昔あった嫌なことやひどい出来事を思い出して、今降りかかっている難事を必死に受け流そうとしていて、逃げ道が現実逃避だけってところがなんとも不憫でした。

要領が悪くて、外からはよくいえばおっとり、悪くいえばもたついて見える一方、とても素直というか従順で、相手の言われるがままに振る舞おうとするところが、とても可愛く見えます。

でも内心では自分のことも周囲の状況も冷静に見ていて、それが全部諦めてしまっているから…ってとこらへんが、なんとも複雑でいろいろな気持ちが喚起されて、救われてほしいなぁと思わされました。

ここまで攻めが全く登場しませんでしたが、大丈夫です。ちゃんと出てきますし、(受けとの)出会いはアレでしたが、思いは一途で、受けにもちゃんと伝わります(なので救済アリって感じの終わり方)。そして絡みも激しめにタップリあります。

画面を潔く上下2コマに割って、上が起承、下が転結って感じで1ページに(だいたい)収まってます。

これって考えてみると結構凄いことかなと。

上のコマも下のコマも絵が見にくくない良い塩梅でセリフが書かれていて、セリフ自体も2人の掛け合いを混同することなく読み取れる絶妙な配置と文字数になっていて、場面もストーリーも分かり易かったです。

最初読んだ時は、上のようなことはぜーんぜん考えず、2人の掛け合いテンポがあっていいなー、好きだなー、くらいの感想でしたが、改めて2コマに注目して読んだら上のような感想になりました。

センスとテクニックが発揮されてる…気がします!

雪が降り積もると、周りの音を吸収してシンとした空気になります。

作品全体にそんな静謐さが漂うお話でした。

周りが静かだと、経験的に、自分とそのすぐ近くで鳴る音の存在が際立つことを知っているせいか、読んでいてもメインとなるカップル(と犬)の存在が際立っていました。
(そういう描き方してるってことかな。見事に誘導されました)

お話としては説明されていないことも多いし、余白をあえて作って読者に想像させてるように感じました。
人生山あり谷あり、いろいろ乗り越えたり、乗り越えられなくて逃げたり、流されたりしてきた男女が出会って(きっと)幸せになるお話です。

オーナー x キャスト

ああそういえばバレンタインだったなーと思ったので、レビュー書いてみました。

お話の中では、キャストをチョコレートでデコれる特別な日になってます!
うん、バレンタインデーっぽい。

白い肌にクッキリと文字とか書けて、白いクリームとはまた違った雰囲気がありました。

オーナーは自分のお店の企画なのに特別な時間をゲストと過ごすキャストに嫉妬して公私混同してました笑

カラー絵ですが、触手にグラデーションがついています。まるで植物のような色合いでとても綺麗です。着物や髪の色とも相まって雅な雰囲気が攻め(妖)から醸し出されています。
まあ攻めの手(触手)に吊り下げられてる受け(妖の食糧調達係)はほとんど服も着ていないですし、上下逆転の結構辛そうな格好ですけれども。

中は白黒ですが、全体に艶っぽさが漂っていて雰囲気がありました。それでいて受けのツンデレのネコみたいな性格が、ところどころアクセントとして働き、シリアスな設定を中和していました。

時代はざっくり戦国時代、統一的な秩序ができる前の迷信も当たり前に信じられていた時代っぽかったです。漠然とでもそういうのが感じられるとお話に奥行きが出ていいなと思います。

生徒の「成瀬」を大好きな先生「久我」。

はじめは興味本位に先生の告白を受けた成瀬は、多分あまり深く考えないタイプ。

久我は、根暗で成瀬と関係を持てたら人生破滅してもいいと思ってるアブナイ大人。成瀬が絡まないと社会生活はそれなりにこなせるので学校の先生。イケメン。

成瀬が流されて久我を受け入れるまでのお話です。成瀬懐深いなぁ。久我は自他共に認める変態で成瀬への愛はあるどころか重いですが、かなーり偏ってます。成瀬も気持ち悪いって口に出して言ってるのに、自身に与えられる快楽が気持ち悪さを凌駕して久我ごと受け入れるなんて大物です。

自覚なく相手を惹きつけて虜にする、まさに今作の淫魔ちゃんは、魔性の力で相手を惹きつけ相手の力を取り込むという悪魔らしい一面が見えます。

ただし本人に自覚はなくて、知らないところで悲喜交々渦巻く感じです。

それでも本人の知らないところでガッツリしっかり絡みはあります。(エピソード集みたいになっていて攻めは代わります)

固定CPじゃなくても楽しめる、人外オーケー、激しめ歓迎ーって方は楽しめる作品かなと思います!

好きになった相手、しかも自分を殺しに来た相手の心を手に入れるにはどうしたらよいか?

そんな課題に正面から物理で突破するお話です。最初にこれまでの経緯と観察日記めいた説明が入っているのでここからでも読めるかもしれませんが、前作の2人の出会いから読んだ方がスムーズに理解出来るかと。

そういえば前作の心理描写は受け視点でした。
今作は攻め視点なので逆視点も気になる方にはニクいしかけですね。

いいところはいっぱいありますが、まずなんと言っても声優さんの声の良さ!低くていい声です。本当にいい声。
セリフがあまりなくて、でも息遣いと喘ぎ、時々掠れたように入る一言がクオリティの高い動画にピッタリハマって引き立てています。

次に動画。動き方がかなり自然です。画角やカメラワークも変わっていき飽きないですし、単調な動きにならないよう随所に工夫を凝らしていると思います。

最後に音と絵の融合。小刻みな動きにうまく呼吸音が噛み合っていて、完成度がとても高いです。
始まりから終わりまで浸れる作品です。