おさない頃から取決められていた未来の帝との婚姻。
国母として、若き帝を支える良き妻であるべくその使命と運命を前向きに受け止めるヒロインの香凛ちゃんの姿が、とても健気で可愛らしい。
けれど、幼馴染へと抱く淡い恋心をそっと胸に仕舞い込みお役目を全うしようと決意したその矢先に突きつけられた、閨指南役としてまさにその想い人である朝霧が任命されていたというあまりにと非情な現実…
しっかりと創り込まれたストーリーとキャラクターの関係性の中で巡りゆく情愛や恋慕、性愛。
各々が自らが担う宿命と使命に囚われ、様々な感情の渦に呑み込まれていく中で快楽に溺れながらも、その最中で滲ませる悲壮感や背徳感。
視線の動かし方や間の取り方一つでその心情をまざまざと見せつけられる情景描写の上手さに、グイグイとこの世界観へと惹き込まれていきました。
三人三様でありながらも、皆一途に「守りたいもの」を貫き通している真摯な姿があまりにあっぱれだなぁ、と。
そして何よりお上である湖珀様の懐の広さたるや。
彼にとっても香凛ちゃんは大切で愛おしい存在。
けれどもそれは、言わばこの国の繁栄を共に願い歩んでいく「同志」に近しい存在なんだよね。
そんな彼が香凛ちゃんと朝霧の二人を思い遣り、更にはこれからの己の立場として取るべき形を考えた上で下した「罰」は、あまりにも慈愛と慈悲に満ち溢れていて胸が熱くなりました。
いやぁ、この帝がお上であらせられる限り、この国はきっと安泰だ!
あと大変個人的な好みで申し訳ないのですが、ナイス前下がりなおかっぱが大変麗しゅうございました。ご馳走様でした!!
作者さんの前作のファンで購入させていただいたのですが、舞台設定やストーリー展開は違えど今回もその画力と構成力の高さに唸らされました。
是非これからもいろいろな作品を拝読させていただきたいです。
素敵な作品をありがとうございました!
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