不運にも自身が負ってしまった怪我をきっかけに、憧れていた人と縮まる心と身体の距離。
喫茶店の店長と、アルバイト店員。
そんな二人の始まりと初めて、そしてこれからの物語です。
ストーリーは店長に自宅に送り届けてもらってから、彼がお家に帰るまでのおそらくほんの数時間程度の出来事。
約2時間という尺の中でこの瞬間を切り取り、一つ一つの台詞を発するまでの間や心模様を丁寧に描写されているのが、流石white mistさんと言わざるを得ない聴き応え感だったように思います。
実際に想いを告げ合うまでにも時間はかかるのですが、その核心に迫るまでの葛藤や焦燥感といったもだもだ感があまりにも絶妙。
年上の余裕なんて皆無ながらも、不思議とカッコ悪さは感じさせず、しっかりとこちらの胸キュンポイントを擽ってくるんだよなぁ。
けれど純粋な年上お兄さんかと言われれば、決してそうではなく。
要所要所でグリッと理性を抉る「ずるさ」を繰り出してくるから全く以て侮れない。
最初に誤魔化していた「一番」をここぞという場面で振りかざされた時には、思わず天を仰いだよね…
絶対にこちらが教える側ではないキスの練習もそう。
かと思えば独占欲剥き出しに中も外もいっぱいにされて、逢裕さんという存在をこれでもかという程にマーキングされちゃうんだ。
ちなみに今作のBest of ズルイは、電車の音の免罪符性だと思っています。
結局は全部聞こえてるんやろがい!!みたいなね。
最後の添い寝trはR18要素はないものの、彼の根っこの部分の温かみに触れられたような気がして、個人的にはとても好きです。
唯一の身体の触れ合いが指切りなんだけれど、それがまたなんとも…!
ただ過保護に甘やかすだけではなく、どこか大人特有の回りくどさや、じっとりとした執着心にもまみれていて。
そんなどろついた部分に不意に横っ面を殴られ、その度に心根をぎゅっと鷲掴みにされたような気持ちになる作品でした。
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