鞠緒さんのレビュー一覧

いついかなる時も一番近くで自分を見守り、誰よりも自分を愛してくれる存在。

その「家族」という言葉の枠に収まりきれない程に溢れ返る感情の渦が、嵐のように激しく、けれどとても甘く優しく包み込んでくる…
そんな作品でした。


姉と弟、言うなれば禁断の関係。
物語は堕ち行く過程からのスタートとなるので、冒頭から二人の間に積み重ねられた秘めたる時間が見て取れます。

いつも姉さんの隣で優しく微笑む弟の冴くん。
そんな彼が洩らす囁き一つで、「可愛い弟」から「オス」へと切り替わるその存在感。
弟という立場を存分に利用しながらも時には「姉弟なんて関係忘れちゃえ」と感情や理性を揺さぶり、けれど結局は「家族」という枷で雁字搦めにしてくる。
そんな策士っぷりが、もう流石としか。

甘く蕩けるような声音で飴と鞭を巧みに使い分け、「はやく俺に堕ちてね」と手を拱く冴くんに抗う術はあるのか。
そもそも抗う必要なんてあるのか。
そんな思考に辿り着いてしまった時点で、もう負け確です。

個人的なオススメポイントとしては、リバーブの効いた中でのセックスごっこと、まるでお耳を蹂躙されるかのようなカウントダウン。
あまりのエロさに脳がバグりました。

それにしても冴くんは、一体どれぐらいの時間をかけて姉さんをここまで引き摺り込んできたんだろうね。
もし姉さんが堕ちきってくれない世界線があったのだとしても、きっと一生涯その手を離すつもりはなかったんだろうな。

そんな冴くんが背伸びをしない「最愛の弟」としての姿を見せてくれた事が、何より嬉しかったです。


義理ではなく実弟、いわゆる近親という関係性となるのでその部分が苦手な方はいらっしゃるかとは思いますが、そうでないのであれば是非とも一度は聴いていただきたい秀逸作。

三重さんの底なしの演技力と表現力、そしてサークルさんの流石のシナリオ力によって創り出された「冴くん」という存在に、存分に魅せられ堕ちていってください。

ハニジャムシリーズ、前作の遊馬くんのお兄さんである要さんがついにご登場。

倉木グループを背負って立つ代表取締役として形振り構わず最前線に立ち続け、限界を迎えた末の入院先で看護師として勤めるヒロインと出会います。

肩書や外聞に囚われず接してくれる彼女の心の温かさに触れ、「ひとりの人間」として生きる意味を教えてもらえた要さん。
そんな彼が去り際に耳元で甘く残した「いつか君を迎えに行く」という言葉。
なかなかに強引且つ外堀がっつりめに埋められた状態で有言実行されるそれに少々驚きましたが、このヒロインにはそれぐらいしておかないと「私なんて」と逃げられてしまったかもしれないね…

「やっと会えたね、僕の花嫁」という台詞だけ聞くととんでもない執着ヤンデレ男子にとっ捕まってしまったかと危惧されるかもしれませんが、溺愛ロードまっしぐらなのでどうぞご安心下さい。
むしろヤンデレなんかより厄介な策士の手中に堕ちてしまったのでは…?なんて脳裏を過ぎった考えには、そっと蓋をしておきましたﾆｺｯ

事ある毎に「自分なんて」と己を卑下し、過小評価をしてしまう頑ななヒロインに対して「そこが君の悪いところ」「君は魅力的な人」と、叱咤するでも呆れるでもなく、同じ目線に立って根気よく言い聞かせてくれるのがとても印象的でした。
ヒロインと出会う前の自分と重ね合わせ、その気持ちがわかるからこそ、要さんは彼女をその闇の中から救い出してあげたかったんだね。

他人に否定される前に自分を否定する事って、これ以上自分が傷付かない為の自衛なようなもので。
そんな風に一度臆病になってしまった心をさらけ出していくのは簡単ではないかもしれないけれど、要さんが側にいてくれるのであれば無敵の自分になれちゃう気さえしてきます。

お互いに認め合い慈しみ合える二人だからこそ、いつかきっと対等な立場で笑い合いながら隣に立てる、そんな存在になれると信じています!

抗えない宿命の中に渦巻く哀しみや愛憎も全て覆い隠すように煌びやかに、そして絢爛豪華に。
その甘い時間が嘘だと知りつつも、騙し騙されながら一夜の夢を見る。

そんな吉原という場所に身を置いた気高き花魁と、その世話係の青年の身分違いの恋物語。


「高嶺の花」と崇拝するかのように花魁を尊む睡蓮の姿は、彼女が手の届かない絶対的な存在であり、己が浅はかにも恋い慕い劣情を覚えて良い存在ではないのだという自戒の念にも見えて。
花魁を想う中での、戸惑いや葛藤。
世話係である睡蓮のそんな感情の動きを、乃木さんがとても丁寧に、情景豊かに演じて下さっていました。

そして世話係という立場をもってもその身に触れる事を躊躇う頑なな心を揺さぶり、優しく手招くようでありながらも強引に。
固く閉ざされた恋慕と言う名の扉を抉じ開け「男」としての睡蓮の手を取り、その熱を徐々に引き摺り出していく花魁。

「貴方の中はこんなにもあたたかくて気持ちいいんですね」

睡蓮が花魁とひとつになれた瞬間のこの台詞は、身体だけではなく彼女の心のあたたかさに触れられたからこそ、紡がれた言葉なのではないかなと思いました。

作品自体は明確な起承転結や激しいドラマ性のある展開ではなく、一貫して静かに憂いを孕みながら流れていきます。
二人の出会いや、お互いがどのようにして吉原という場所へ身を沈める事となったか。
そういうバックボーンなしに、敢えてこの「瞬間」だけを切り取ったからこそのエモさがあるのではないかな、と。

花魁と世話係。
そんな二人がただの男と女としてお互いを求めあい魂を寄り添わせる、美しくも儚い時間。
きっと永遠には続かない絵空事。
それがわかっているからこそ、この時間だけは愛しい人と肌を合わせ慈しみ合える幸せを噛み締めて。

穏やかに微睡むような優しいストーリーの中、決して抜けない棘がチクリと刺さり、その痛みと切なさがじんわりと心に広がるような余韻を引く作品でした。

彼氏に振られたショックが原因なのか、突然聞こえるようになってしまった人の心の声。

いわゆる、サトリ。
突然目覚めたその能力に理解が追い付かないのは当然の事ながら、配慮も遠慮も一切なしに流れ込んでくる人々の「負」の感情。
その重圧に押し潰されそうになりもがいていたところに手を差し伸べてくれたのが、梗弥さんでした。

元彼に関しては、こんな清々しいまでにクズ精神ダダ漏れさせる男と縁が切れる事を喜ぶべきなのか。
それでも曲がりなりにも一時でも心を通わせた相手なのだから、美しい思い出として終わらせた方が良かったのか。
どちらを選ぶかと問われたら難しいところ。

正直、こんな能力を持ってしまったら人間不審に陥ってしまってもおかしくないと思うんだ。
そうならなかったのは、本音と嘘偽りない言葉をくれる梗弥さんが側にいてくれたおかげで。
だからこそ別れたはずの元彼に迫られているところに居合わせた彼からの心ない言葉にとてもショックだったと思うんだけど、その言葉に一番傷付いているのは彼自身なのだとわかると、裏腹に泣いて謝るその心ごと抱き締めてあげたくなっちゃうよね。

心を通わせたあとの糖度爆上がりっぷりは、脳まで溶かし尽くされるレベルなので、どうぞ存分に愛され甘やかされるお覚悟を。
嬉しすぎてちょっと出しちゃったﾃﾍﾍﾟﾛ☆は流石に可愛すぎて禿げました。

梗弥さんは「清廉潔白な王子様じゃなくてごめん」って謝ってたけれど、でも誰よりも真っすぐで清らかな心を持っていて。
固く閉ざされかけた殻の中へと優しく手を伸ばして救い出してくれた、私にとって最高で最強の王子様であり、魔法使いでした。

人を愛し愛される喜びを知る、お互いにとっての成長物語でもあったのではないかと思います。

淫魔のBくんと譲ちゃんのシリーズ続編、お待ちしておりました!

今回はハジメテに原点回帰しての譲ちゃんのお家でのお話。
前作で「印」を付けてくれてから、こうして二人が無事に会えてる事がわかってとても嬉しい!!

逢瀬を重ねる毎に「女のコから女性」へと開花していく譲ちゃんとBくんのえっちは、前作、前々作に比べてもどろり濃密。
Bくんの尻尾さんも今回もしっかりイイお仕事をしまくってくれちゃうんだよなぁ。
大変えろぉございました、GJです。

気まぐれに、でも当たり前にやってくるBくんを待つ譲ちゃんが、健気でいじらしくて可愛くて。
Bくんの何気ない言葉に淡い期待を抱いて、でも裏切られてしまう瞬間の描写があまりに切なくて、心が痛くなりました。

次はいつ来てくれるのかわからない。
来てくれても、この行為が終わったら自分の記憶を操作されてしまうかもしれない。
そうじゃなかったとしても、もしかしたら今回が最後かもしれない。

譲ちゃんのあの小さな身体の中で、ぐるぐると渦巻きながら抱えきれないぐらいに大きくなっていくBくんに対する想い。
それが思わず溢れ出してしまった瞬間は、その燻る熱にあたたかみを感じながらも、胸がギュッと締め付けられるような気持ちになりました。
そしてそれを、意識のない中で否定する姿がもうね…

でもBくんは快楽に溺れていく身体の変化はもちろんなんだけど、譲ちゃんの心の変化(というよりは進化かな?)も、きちんと理解してくれていると思うんだ。
そんな二人の身体だけではなく心の距離の狭まり方も、シリーズ通して読んでいただけるとぐぐっと解像度が上がるので、前作から読んでいただけるとよりこの作品を楽しめるかと思います。


まひるからマヨナカ、今回で夜ふけに。
いつか夜が明けて朝が来る時に、二人にとって新しい関係性が生まれたりするのかなぁ…

そんな思いを巡らせながら、また次回のお話も楽しみにお待ちしていようかと思います!

2023年初夏。
ご主人ちゃん、はじめました(冷やし中華みたいに言うな)

言うなればヒモごっこ。
「ペット」としてご主人ちゃんに飼われ、可愛がられて甘やかさる綱吉くん。
元No.1ホストとしての力量を存分に発揮させた駆け引きで、しっかりご主人ちゃんの心も身体もげっとだぜ!!

きゅるるん可愛くておねだり上手な綱吉くんと、ドSチラつかせながらオラオラでガン責めしてくる綱吉くん。
気まぐれな猫ちゃんみたいだと思ったら、全力で尻尾振って甘えてくるわんこ要素も持ち合わせているのがズルい。
このギャップにﾌｧｯ!?となり彼の本心を見失いそうになるものの、ケーキひとつに嫉妬する姿なんて見せられたら、もうそれだけでどんな彼でも抱き締めてあげたくなっちゃうのは私がチョロご主人ちゃんすぎるのでしょうか。

そして大体どのtrでもイチャコラしておりますが、驚愕の舐め特化男子である事をここにお伝えさせていただきます。
これはやはり「ペット」だからなのかな…?

三橋さんのリップ音が癖の方には是非とも聴いていただきたい舐め音のエレクトリカルパレード。
あらゆる場所を舐められしゃぶられ吸い上げられ、しかもそのどれもこれもが粘度高めな上にどスケベ淫語までトッピングされ、更にえちえちバロメーターを天井なしに爆上げしまくっていくという…
流し込まれるエロ要素過多すぎて、耳が溺れ狂うかと思っちゃったナ。

はじめはご主人ちゃんが意識をトばしてからじゃないと出なかった素の綱吉くんが、trが進むにつれてどんどん溢れ出ていくのにﾌﾌｯとなっちゃったよね。
もうこのご主人ちゃんであれば多少素が出ても逃げていかないと践んだのか、はたまた素がポロポロ隠しきれなくなるぐらいに綱吉くん自身の感情が揺さぶられているのか…

各々が自分ルートの綱吉くんとして判断した上で受け容れ、素晴らしいハッピーご主人ちゃんライフを送っていただければと思います!

オトナになればなるほど、自分の感情や想いを脇目も振らず真っ直ぐに伝えるのって難しくなっていくよね。

本音の建前の中で揺れ動く恋心。
純粋な少女漫画のような恋愛とはいかないけれど、それでも自分らしくいつまでもキュンキュンしたいオトナ女子へ送る作品が、コチラ。


大学時代からの飲み友達の遊馬くん。
チャラっとした雰囲気でノリが良く、お互いの恋愛事情なんかも気兼ねなく話せちゃうフラットな関係が、なんとも居心地良さげ。
そんな彼にひょんな出来事から偽装恋人として協力する事になったのをきっかけに、二人の運命の歯車が動き始めます。

酔った勢い、言葉は悪いかもしれないけれど、言うなればなし崩し。
お互いがお互いを煽り煽られ快楽を貪りながら、「友達」の関係をド派手に叩き割っていく姿にドキドキさせられます。

そんな中で遊馬くんがポロリと洩らしそうになる本音と、その誤魔化し方がまた可愛いんだ…!
モノローグまで聴いた上でtr1に戻ってくると、この成り行き任せのように思える関係が違った形に見えてくるかもしれません。
遊馬くんの「もう我慢できない」の言葉の重みがわかると、それだけで心臓がｷﾞｭﾝってなるよね。

そのままなんとなくお付き合いを始めて…なんてゆるゆるな関係にもならなくはない状況。
でもそこできちんと覚悟決めて己の気持ちに向き合うあたり、酒893友達という間柄ながらも心根は実直で、何よりお互いに相手を大切にしていたのだろうなと思います。
ご機嫌に鼻歌歌い始めちゃうのは、流石に可愛すぎて悶えちゃったﾅｧ!


長い間「友達」として接してきたからこそ、自分のダメな部分も理解してくれていて。
全肯定スパダリ男子も最高だけど、ありのままの自分を愛して受け容れてくれる彼氏なんて最強でしかないよね。

嘘も誠も全て引っ括めて愛しく思えちゃうぐらいのオトナの素敵な恋を、どうか堪能しちゃってください!

優雅でハイソなイメージ漂う豪華客船。

そんな中で、アクション映画さながらの躍動感溢れるBGMをバックに逃げ惑い、ドキドキ感満載にえっちな展開を楽しめちゃう作品がコチラ。


それにしても、とてつもなくピンチな状況の中でよくぞここまで…というぐらいにひたすらイチャコラしてくれるから感謝……失礼、びっくりしちゃう。
お嬢様ってば、むしろこの状況でのスリルある情事を楽しんじゃってるんだもんなぁ。
「本当にお嬢様は肝が座っている」と嬉しそうに受け容れちゃうアレンさんのお嬢様ファーストゆえの快楽へのよわよわっぷりが、また加虐心を煽り散らかすというものです。

そしてラストへ向かう中での、まさにタイトルからの伏線回収の二人の時間。
あまあまイチャラブな雰囲気からの豪速急展開に置いてけぼりを食らわないのは、流石彩さんと言える演じ分けと表現力だなぁと感動しました。

お嬢様の言いようにされる従順な執事の皮は脱ぎ捨て、オスみを溢れさせながらの「最後」の刻み付けセックス。
思っていた以上に命懸けすぎて心がざわつく中でのアレンさんの言葉は、その一つ一つがもう魂の叫びとも言えたのではないかな…
けれど動物的本能だけで揺り動かされたのではない彼の優しさが、そこには確かにありました。


前半は女性優位なシチュエーションがメインとなりますがそこまで極端な責め方ではないし、しっかりと逆転も完備。
普段女性優位作品をあまり聴かない自分でもなんの引っ掛かりもなく楽しめたので、その部分が苦手で購入を悩まれている方にも安心して聴いていただける作品ではないかなぁ、と。

本編だけだと、ハピエンなのかどうかは聞き手によって解釈が変わりそうだなとは思います。
けれどDL特典の内容を見ると…ね……!?

その先にあるストーリーが二人にとって最高に幸せな物語である事を願いながら、楽しみにお待ちしていようかと思います!

予告の段階から脳汁プシューで楽しみにしていた作品。

八神さんでわんちゃん、しかもサムネからもひしひしと感じるきゅるるん可愛い系の波動。
これはちょっと意外性ありなのでは…しかしそれはそれで、ドキがムネムネ……!!

なんて思っていたら、なるほど包容力たっぷりの大型犬でしたか。
あまりの解釈の一致のどストライクさに、歯茎剥き出しでニッコリでした。


言うなれば、レンタル彼氏ならぬレンタルペット。
可愛がるも可愛がられるも思うがまま。
お望みとあらばえっち付。
無限大の可能性を秘めたその存在に、心も身体も癒やされること間違いなしじゃんね?

今回ペットとしてお家にやってきてくれたハルくんはカッコ良いのに可愛くて、頼りがいがあるのにピュアで恥ずかしがり屋な一面も見せてくれる、各属性いいとこ取りのようなスペシャル複合タイプわんこ。
尽くすのが大好きで身の回りのお世話はお手の物。
いいところを見せたくてｸｩﾝとお耳ぺたんさせたり、どんな飼い主さんでもダメじゃないしむしろダメでいい、とありのままを受け容れてくれるのが嬉しかったな。

そんなスパダリペットの彼は意外や意外、アチラ方面のご依頼は皆無なご様子。
こちらのおねだりに思わず戸惑いながらも、やると決めたら任務をしかと全うするわんこはそりゃもう…すんごかった……(語彙力の欠如)

兎にも角にも「ココにいる」感がハンパないんだ。
ずーっとお耳0距離で囁かれて情緒バグるし、その熱さえ伝わってきそうな程間近にかかる荒い息遣いは、わんこそのもの。
そしてまるで交尾のような後ろからの耳舐めピストンで完全に負けを確信し、白旗を上げようとした瞬間耳元で堪らず洩らされるその言葉。

ハルくん…あれは自覚してたのかなぁ?


その言葉の先にある二人の関係性に期待しかないエピローグの追加を、全力全開の正座待機でお待ちしております!
わん!!

「永遠」とはなんなのだろう。

心が締め付けられるように。
そして焼け付くような思いで掻き乱されながら。
頭の片隅でそんな答えを探しながら聴いた作品でした。

まずハッとさせられたのは、バグを取り込んだ瞬間に切り替わるルークの口調。
無機質だった「機械」から一気に感情というものを彷彿させる温かみを帯びた事に、感動すら覚えました。

一人称も私から俺へ。
まるで自我を持つ一人の「ヒト」として、プログラムでは測りきれない感情をその身に宿していくルークの姿。
博士への気持ちが創造主である神から一人の愛する女性へと変化し、その想いを真っ直ぐに伝えてくれる彼を愛さない理由なんてないんだよね。

博士とアンドロイドではなく恋人として一緒に過ごす時間は、とても甘く、擽ったいぐらいに優しくて。
けれどそんな二人だけの幸せな世界に、無情にも生じていく歪。

ルークは決して善悪というものがわからなかったわけではないと思うんだ。
ただ何よりも、愛する人を守りたかった。
それだけなんだよね。


初期化はその存在、そのヒトを殺めるのと同じである。


そう彼に説いた張本人だからこその決断は、残酷だけれど、彼への愛に満ち溢れたその人にしか出来ないものなのだと思いました。
あの「ごめんなさい」に一体どれだけの想いが込められていたのか。
まるで「彼」という存在が消え去っていく瞬間を表すかのような、指輪の滑り落ちていく音があまりにも切なかったし、やりきれなかった。

そして原点回帰とも言える、日常に戻ってきたのかな?とふと勘違いしてしまいそうなまでの穏やかな時間。
けれどそこにあるのは、決して今までの思い出を、想いを全て初期化されたわけではない「彼」が存在していたのだという証。

たくさんの哀慕とも言える傷痕と、愛慕とも言える大切ものをその身と心に深く刻みつけながら。

思い描いていた理想の未来とは違うのかもしれないけれど、確かな「永遠」がそこにはありました。