トラック1から、和やかに進むお話の中にもどこか仄暗い空気を感じます。
とても優しく紳士的な雰囲気や言葉でヒロインとの関係を築いてきた清流さん。
初夜では初めは優しくヒロインを抱く清流さんですが、後半になるにつれ「玩具」「遊ぶ」など嗜虐的な言葉と行為をヒロインへぶつけます。
これが本性かと思いきや、行為を終えたあと、行為中にヒロインへぶつけた言葉の割には気づかうような態度をとるので彼の真意がわかりませんでした。
ただ、上巻での泰隆さんから受けた清流さんの印象とは全く異なるものでとても驚きました…!インポテンツどこいった…?など終始混乱していました。
そのくらい嗜虐心剥き出しの激しい行為でした。
ストーリーが進むなかで清流さんが見せる変化、愛してまったから生じた苦悩に胸が苦しくなりました。
2年越しの清流さんと泰隆さんの会話…
泰隆さん、はじめは凄く明るく穏やかな話し方でそれがとても怖かったです…かと思えば、一転して高揚しているような狂気を感じる声音に鳥肌が立ちました…表情まで鮮明に浮かんでくるような…
愛してもいないくせにという泰隆さんに対して愛してるという清流さんの苦しそうな声に、ぶわっと胸が熱くなりました。
愛している人を兄に奪われた泰隆、遊びのつもりが本当に愛してしまった清流…本当にままならないふたり。
3人での行為では清流さんからの指示でことが進んでいきますが、状況を言葉で伝えられるのがとても背徳的で…他にない空気を孕んでいます。
泰隆さんはほぼセリフが無く、吐息だけで表現されていますが、長年思い続けた相手との行為に興奮する様子が息遣いだけで伝わってきます。
最後の清流さんの愛しているという声から心の底からヒロインを想っているのが伝わってきてそれが益々、心を抉ります…
上巻、下巻を通して最後の最後まで心をかき乱されるお話でした。
素敵な作品をありがとうございます…!