ヤクザの組の組長の一人娘のヒロインちゃん。
そして組長に拾われたヒロインちゃんのお目付け役の莉久くん。
ヒロインちゃんは、そんな莉久くんが大好きで常に気持ちを伝えているがいつも困らせてしまう。
実は莉久くんは、組長の存在を煙たがっている若頭によって暗殺者として育てられ、身分違いと汚れ仕事をやっているという罪悪感からヒロインちゃんに相応しくないという思いと、同時に他の誰にも渡したくないという相反する気持ちを抱えて過ごしていて…。
そしてある日、ヒロインちゃんだけは逃してやるという若頭の言葉に、莉久くんは組長夫婦を手にかける。
両親を殺した血に濡れた手でヒロインちゃんに逃げようと言っても、受け入れられず拒否される。
そして莉久くんは誰かの手に触れさせるくらいならと、無理矢理初めてを奪う。
基本的にはいつもと同じように敬語ですが、ふとした瞬間に出てくるタメ口や高笑いに、ずっとずっと触れたかったヒロインちゃんに触れられる莉久くんの喜びを感じます。
その後、薬のせいか、愛した人に両親を殺された為か、ヒロインちゃんは心が壊れて幼児期退行を起こしてしまいます。莉久くんを愛したまま、時だけが戻りヒロインちゃんは心も身体も莉久くんを求め愛していて、そんなヒロインちゃんを変わらず愛し守り続ける莉久くん。
しかしやはりこの状況に心を曇らせ辛そうな莉久くんに、慰めるつもりでヒロインちゃんが言った言葉を聞いた莉久くんの絶望…。
色々なすれ違いがなければ、祝福されて幸せになっていた未来があったという事。
幼子の様に無垢になったヒロインちゃんの発したその真実は莉久くんにとって、どんなに残酷だったか、その慟哭を聞いて胸が締め付けられ、
果たして壊れてしまったのはどちらなのか?と思いました。