指永さん演じる基宮君は、終始落ち着いていて、感情を見せることも殆ど無く、終始抑揚の少ない話し方をされています。淡々とヒロインの世話をし、時には初めて出会った時の事を話したりもしますが、終始穏やか、というよりも序盤は無機質という言葉が合うかもしれません。
声を荒げたり罵声を浴びせたりすることもありません。
監禁ではありますが、“ヒロインを自分の思い通りにしたい”といった強い意思は感じられませんでした。
彼の生い立ちを語散るシーンがありますが、その経験上から考えるに、彼が自分の感情を表にすることの難しさ、またその行為によって得られる筈の成功体験が無い、人形相手にいつも一方通行のやりとり…を鑑みると、基宮君らしい監禁なのかもしれません。自己肯定感も低く、自分を愛してくれる人などいないと考えているようです。自分を愛してもらうための監禁ではなかったのだろうと感じました。
そしてどちらの終わり方も彼らしく、だからこそヒロインには戻って欲しいと強く感じました。序盤で感じた無機質な話し方も、段々と心が入っていくのが分かりますし、最後は愛されることの喜びを滲ませる彼の変化が嬉しかった。
お話の構成がとても素晴らしくて、最後まで引き込まれました。そして、指永さんの演技力がそれをさらに引き立てています。素敵な作品を本当にありがとうございます。