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昔ある日、私が「見合い」をした時のこと。
「ぶるっく……なあ? そういう作曲家は初めて聞きました」
また別のある日、とあるオフ会にて。
「チャイコフスキーの第五交響曲が好きなんですよ!
え? ブルックナー?
いえいえいえ! グスタフ・マーラーとかアントン・ブルックナーとかは
長ったらしくて、聞けないです!」
「ブルックナーの交響曲には、英雄も小市民もいない。(中略)
ブルックナーの音楽を輪切りにすれば、赤い血のかわりに岩や氷がごろごろと転がり出る」
「ブルックナーの作品について、ブラームスはこう予言した。
『少なくともそれは今までのところ、作品というより一種のまやかしであり、一、二年のうちには
忘れ去られてしまうだろう』と。だが、ブルックナーの作品は消え失せなかった」
「ブルックナーは初稿自筆譜のタイトルに『交響曲変ホ長調ロマンティック』と記しているが
この曲が現在高い人気を得ているのは、そのネーミングのせいでもあるようだ。
ブルックナーはこの作品の標題的内容について、繰り返し人に語っている」
(田代 櫂『アントン・ブルックナー魂の山嶺』)
(以後、前掲書より抜粋)
「中世の町……夜明け……市門から聞こえる起床ラッパ……(中略)……
見事な馬を駆る騎士たちが野外へ駆け出し、自然の魅惑が彼らを包む(中略)……
鳥の歌声……こうしてロマンティックな光景が繰り広げられる」(Bewegt, nicht zu schnell, 約19分)
「『第二楽章』歌、祈り、夜の情景」(Andante, 約12分)
「『第三楽章』狩りのシーン。トリオの部分では、狩人たちが森の中で食事し、
手回しオルガンに合わせてダンスを踊る」(Scherzo, 約10分)
「『第四楽章』盛大な村の祭り」(Finale, 約22分)
「ブルックナーのこうした陳腐な自作解説を、厳密に受け止める必要はないと考える。(中略)
カール・グレーベによって『もはや手を触れることのできない完璧さと、
高度の複雑さを持つ』と評された『第四番』の終楽章が、
田舎の祭りといったい何の関わりがあろう」
体験版(本体も予定)に、参考用オーケストラ版全曲のMIDI音源を同梱しております。