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いつものようにDLsiteのASMRランキングを眺めていた時にたまたま見つけた本作。
元々奥野香耶さんのファンだったため、内容をそこまで気にせずに購入しました。

試聴で所々挟まっていたノイズ音に若干不安を覚えながらも、「奥野香耶さんのASMR作品が聞けて嬉しいな」くらいの軽い気持ちで視聴開始。

すると開始数秒でいきなり「夏」を詰め込んだような音の洪水に飲み込まれ、気づけば「なんでこの作品買ったんだっけ…」という理由を忘れ、両耳から流し込まれる音にただ呆然とすることしか出来なくなりました。

奥野香耶さんの声を聞くために買ったはずなのに、最初の「音」で意識を完全に持っていかれました。

この作品はそれくらい、音がキーとなっています。

もちろん奥野香耶さんの演技や脚本も本当に素晴らしく…
というか、あの脚本とこの世界観、奥野香耶さんの声のどれか一つでも欠けたらこうはならんやろという作品であるのは確かですが、
そこに「音」が加わることで、ただのASMRではない一段階上の音声体験になっていると感じます。

音を聴き続けるだけ。それなのに「いまプールの中に潜ったな」とか「冷たい水が自分の上を流れていったな」とか、そういった視覚・触覚的な体験をしたという実感が不思議とありました。音だけで違う世界に行くことってできるんですね。

普段聞く音声作品は耳かきやら甘いセリフやら、ただ聞いて満足するだけのものが多かったのですが、
本作は聴き終わった後に映画を見終わったような、ゲームをプレイし終わったような、「何かをやり遂げた・見届けた」という充足感がありました。あの世界の中にたしかに自分は居たんだな、と。

文章がまとまらないのですが、とにかくこれは「音声体験」であり、普通のASMRとは一味違う不思議な体験ができます。

1000円で出来る逃避行。音に身を任せて、どうか最後まで、サカナと"一緒"に終わる世界を過ごしてみてください。