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不穏な写植に不穏なイラストでずっと気になっていたので購入。

いや凄かったですホントに。
タチバナくん。初手からヒロインに浴びせる理不尽な行為と言葉に似つかわしくないほどにあっけらかんとしてる。
立ち回りから、悪い事を悪いと認識はしてるんでしょうけど罪悪感が全く感じられない。
助けた見返りに金銭を要求したり自殺者の持ち物を売ったり、金に執着してるのかと思ったら暮らし自体は物凄く普通で。
何を考えているのか本気で分からないところに戦慄しました。

ヒロインを家に置くことを、動物を飼うの初めてと言ったり。
風俗に売るぞと脅してコントロールしようとしたり。
わりとサイコパスという言葉が揶揄の一環で使われることもあるなか、本物を見た気がしました。

最恐プレイの竹林シーン。
召使いに蜂蜜を塗り木に縛り付けて無数の虫に噛ませた稀代の悪女エリザベートバートリーそのまんま。
真っ黒になってるかと思った発言には背筋が凍りました。
実際には一匹ちっちゃいのがいた程度で、現実的なところが余計に怖かったです。
早起きして見に来た、ということはガチで一晩放置されていたということなので非道極まってます。

分岐エンド1。
壊れてしまったヒロインを愛していたことに気付いて面倒を見ようとして、結婚という形を取ろうとしてること。
ヒロインの望むままに優しく応える姿。
ドン引き続けていましたが、かなりウルッときました。
タチバナくんの成長が嬉しくもあり、ここまで完全に壊れてからじゃないとそれに気付けなかった事実が悲しくもありました。

分岐エンド2でははっきりと行かないで、一緒にいて、と言葉に出来ていて、こっちもこっちでキチンと成長を感じます。

個人的に1のエンドが好き過ぎてしばらくずっと心に残っていました。
タチバナくん、下の名前すら出て来なかった…知りたかったです。
決して万人向けじゃないですが私の中で忘れられない作品になりました。
ありがとうございました!