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良い豆を揃えている珈琲専門の喫茶店があるならば、「音喫茶ねころび」は、とにかく良い音を揃えている喫茶店と言えるでしょう。
その名称が示す通り、寝転び、目を閉じ、体をリラックスさせた状態で、かつ適度な音量で聴くことで、作品内容にもある通り「実際に施術を受けている」感覚に近づくことが出来ます。
そして伊ヶ崎綾香さん演じる店員さんの優しく甘い声とともに、ヘッドスパや耳かき、マッサージなど様々な音が聴こえてくるのですが、それが素晴らしくリアルに「とてつもなく気持ちの良い音」へと変化してやって来るのです。
この状態で5時間を超える本編を聴きながら意識を保っているのは至難の業ですが、だからこそ繰り返し繰り返し、何度でも楽しめる作品であると思います。
素晴らしい音を詰め込んだ集大成ともいえる「音喫茶ねころび」、是非ご来店をおすすめします。
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天知遥さんの出演作ということで拝聴させていただきました。
まずはサンプルを聴かせていただいたのですが、一人称が「ボク」である今作のヒロイン・夜町星蘭の愛嬌のある可愛らしい喋り方がとても魅力的ですぐに好きになってしまい、発売を楽しみにしていました。
聴き手は、物語の舞台であるカルミア学園新入生・朝露桔梗として、2つ上の先輩である星蘭の施術を学園内のサロンで受けることとなります。ASMR要素も多分に含まれていますので、もちろんそういったカテゴリーの作品としても楽しむことができますし、聴き手自身が女性視点なので百合物語のボイスドラマとしても楽しめました。
個人的にやはり夜町星蘭のキャラクターの魅力が一番で、天知さんの演技でとても躍動感のあるヒロインになっていると感じました。イラストと声や喋り方がぴったりでしたし、何より聴いているとイラストで描かれた星蘭が頭の中で、色んな表情を想像しながら動いているイメージが沸いてくるんですよね。
導入部は良い意味で先輩っぽさがなく、感情表現豊かで可愛らしい星蘭との会話が楽しいです。そこにググっと作品に惹き込まれます。
しかし、いざ施術に入っていくと次第に彼女の包容力の虜にもなって、とても癒される作品でした。
本作はシリーズ作品のうち3作品目にあたるようで、前作までに登場しているであろう宵坂月乃という子の名前が何度か出てきます。自然な感じに関係性が感じ取れるようなシナリオになっているので、単体作品として問題なく楽しめました。
とはいえ、1・2作目を聴くと解像度が上がる気がするので、ちょっと遡ってみようと思います。
1時間弱ほどのボイスドラマで、後輩女子のストーカー行為・監禁に耐えかねて自殺、別の世界へ転生した先輩女子が主人公。ですので、聴き手が女性視点の立ち位置となる作品です。
ボイスドラマといいつつ主人公に固有の名前がついていないので、聴き手目線で進行する音声作品らしい印象もありますね。
ファンタジーらしく目的は魔族の女王を討伐するというわかりやすい設定で、登場人物こそ少ないですがエンディングは2分岐しています。
メインは主人公と同じ転生してきた者として行動を共にする僧侶とのストーリーで進行、作品タイトルから予想がつく通りお互い転生前の事を知りますが、意外とエンディングはある意味見方によってはストレート過ぎない展開だったのが良かったと思いました。
僧侶の二面性のある演技や、女王としての貫禄や威圧感のある演技が楽しめるところも魅力です。
夏の季節にぴったりなASMR作品で、特に海岸の波の音と炭酸系の音を中心にした、涼しげな音をたっぷり感じることができます。
元々炭酸系の音が好きなのですが、今作の舞台であるリゾート「浜の小路」で提供されているメニューは、そんな自分を満足させてくれる多彩さに溢れていました。
そんな豊富な音の数々を提供してくる、伊ヶ崎綾香さん演じるセラピスト・水姫の声、そして話す速さも丁度良く、聴いているとすごく心地良いです。
ASMRの方に集中したい向けに一部セリフの合間の息遣い等BGVをカットしたバージョンも収録されているので、好みに併せて聴くのも良いと思います。
さて、いざ聴き始めると冒頭は波の音も強く感じますが、次第に外から聴こえる波の音という自然な雰囲気になります。
そして、トラック1~4までは頭→耳→手と、下の方に向かって進んでいくメニューなんですよね。それもあってかリラックスした状態で、櫛で髪を梳かす音や炭酸泡による頭部マッサージを経て、炭酸耳掃除へと聴き進めていくと、頭の中から耳へと意識が落ちていくためなのか……すでにこのタイミングで気持ちの良い眠気が訪れてすっかり入眠してしまいました。
安眠導入にももちろん最適ですが、日中でも作業用として聴いてみました。全然邪魔にならないですし、むしろ気分が落ち着ついて集中もできたので、そんな聴き方も良いのではないでしょうか。
おまけのASMRのコーナーも嬉しい。
今回ASMRメニューによってはKU100ではなく黒耳を使うなど、シチュエーションによってマイクを使い分けをされていたり、より気持ちの良い音が出るようにある事をしていたり……そんな「ウラバナシ」と「ネタバラシ」を楽しく解説してくれます。
とても爽やかで、落ち着いた気分に浸れる作品でありながら、臨場感と存在感をたっぷり感じられる、素晴らしい一作でした。
これは、毎日行われている……かもしれない、和鳴るせさんの料理模様「るせ'sキッチン」の一部始終を捉えた、ドキュメンタリー音声作品。
そんな言い方もできるかもしれませんが、ASMRも楽しめるバイノーラル収録でお料理しながらの日常感あふれるフリートーク集的な作品です。
キッチンの近くの特等席でるせさんが料理しているところをただただ見守るのですが、料理をしながらも色々と喋りかけてくれる雰囲気が楽しいし、独り言を言っているような感じも可愛いです。
さて、第2弾となる今作はトラックこそ減っているものの、1トラックあたりの再生時間は大幅に増加していてじっくり長く聴けますね。
また、あくまでメインはお料理ですから一発録りなわけでして、それ故フリートーク集やアドリブ音声的な楽しさはもちろんのこと、ちょっとした言い間違えや言葉に詰まったりするところがNG集好きな自分としては最高でした。
手羽元の調理の際は、黒いお皿を用意するなどしてとあることを隠す工夫をしているのが可愛くて面白かったです笑
手羽元はホロホロになるまで煮込んでやるのが好きですが、聞いていてこんな風に焼いてみるのも美味しそうだと思ったので、今度やってみたいなーなんて思います。
特典音声はパソコン配線調理……じゃなく配線整理。
本編のトラック並みのボリュームがあるのは、+ ucca ∫ ucca + ではもうお馴染み。
パソコンの配線整理をやったことをある人ならわかる、そんな時の「あるある」に共感しちゃうところも面白可笑しかったです。
2023年10月21日(土)、新宿ロフトプラスワンで行われたリアルイベント「あめりんぱーてぃー Produced by +ucca ∫ ucca+『あめりんパニック!』」において、本イベントのプロデューサーこと「そらまめ。P」自らが用意したバイノーラルレコーダーで収録した音源の詰め合わせ……な作品。
リアルイベント以外にも一定期間配信アーカイブもありましたので、ここで「行ったよ!!」「聴いたよ!!」という方は、トラックリスト順に聴くのがオススメです。
この作品で初めて聴くという方は、個人的には本編のトラック4「あめりんぱーてぃーProduced by + ucca∫ucca + あめりんパニック」からが良いのではという気がします。
ほら……やっぱり現地に行ったり配信アーカイブとかでイベントを経験している人はさ……先に本編聴いている状態でウッキウキしながらこの作品でしか聴けない舞台裏を聴きにくる訳さ。
イベント参加者視点なら、本編聴いてから舞台裏、が楽しいと思うのですよ。
「いやいや、ワイは主催者視点で聴くんや!!」という方は逆に順番に聴くといい感じです。
さて、一度配信はされている本編ですが、さすがはバイノーラルレコーダー。
音の広い方が全然違うので、くっきり聞こえて超楽しいです。
そして夏峰さん、飴川さん、そらまめ。さん……この3名様が集まった時のバランス感がとても良い……!!
舞台裏でも楽しそうに作業や振り返りをしていらっしゃっていて、聴いているとなんだかその場に立ち会っているような感じでとても和みます。
一方、イベントで一番笑ったところは飴川さんが仰ったフレーズとか数字とかを、そらまめ。Pが意味深な方向に捉えてしまうところでしょうか……夏峰さんから飛んできた鋭い叱責は何度聴いても笑えます。
この辺りの出来事があったのでほんとちょっ~……とだけ心配していましたが、無事全年齢作品で通って良かったです笑
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一途に暖かく接してくれる西瓜ちゃんと、霧縞を舞台に自然の中や湯治宿での温泉、その後のひと時までゆったりと過ごせる、全編通して癒し要素をふんだんに詰め込んだ作品。
西瓜ちゃんがとても愛情深く、優しく話をしながら一緒の時間を過ごしてくれます。
現地の様子が見えてくるような没入感の高い環境音もさることながら、西瓜ちゃんの癒しに溢れる声と語りかけが耳心地良く、序盤から相乗効果で安眠誘導がすごかったです。
実際に数分間寝落ちしてしまったことがありますので、こうした環境音・話し声に安眠要素を感じる方は、寝る時に聴くのも全然良いと思います。
温泉での泡の洗体と洗髪はそのシチュエーションに併せてか、トラック収録時間が最も長いので、忙しさを感じずにゆったりと落ち着いて聴くことができました。他のトラックにも言えるところではあるのですが、西瓜ちゃんがとにかく献身的でその姿にも癒されてしまいますね。
このシチュエーションに限らずですが、たっぷりと時間を使っているので忙しない雰囲気がまったくなく、落ち着いた気持ちで聴き続けられます。
耳かきの際における耳洗浄とスプレーイヤークリーニングは想像以上に気持ち良かったです。
特に耳洗浄時における音の質感もリアルで、聴こえにくくならない程度に西瓜ちゃんの声が篭るところも自然だったかと思います。
安眠導入においては声の変化がとても気持ちよく、変性意識誘導……言うなれば催眠音声に似たものになっていて、耳かき・耳洗浄・スプレーイヤークリーニングを含めて続けて聴くと一連の流れとしてより楽しめる気がします。
くわえて個人的に寝息が好きなので、そこまで作品内に含んでいるのがとても嬉しいですね。
西瓜ちゃんの作品は2つ目ですが前作よりも落ち着いた雰囲気多めで、こちらも安眠のお供になりそうです。
2023年09月05日
ウッカスッカの主様こと和鳴るせさんがお料理をしながら、色々お喋りしてくれる、ある意味フリートーク集っぽさもある音声作品。
豚丼、カレー、カツ丼、きゅうりのお漬物、ミートソース、などなど……
特典音声とフリートーーク以外のトラックは、好きな献立・興味のあるメニューから順不同に聞いても問題ないかなと思います。
ただ、お腹空いている時に聞くのは注意が必要です。調理音から想像を誘発する飯テロを侮ってはいけません。想像は一番理想とする料理の状態が思い浮かぶものです。
そんな調理の音はもとより、キッチン特有の環境音、るせさんの動く音・歩く音、そして聴いている側への会話っぽいお喋り、とにかくそんな生音がたくさん楽しめました。
お喋りも面白くて、結構きっちりしてそうな方だなと思っていると、フライパンが冷める前に水を入れたりだとか(自分も気にせずやりますが)、意外と適当なところもチラホラあって、そういう可愛らしいところを探すのも楽しいのです。
さらにキッチンの隅の突っ立って、壁に背を預けて、目を閉じてるせさんのお喋りに「うんうん、そうだね」みたいに相槌を打つ感じで頷きながら聞いていると……お料理しているるせさんを見守る同居人気分に。
お料理が出来上がるのを待つ幸せ空間。たまに耳元で卵の殻を握りつぶす音を聴かせてくるイタズラをしてくるところも可愛いし、きゅうりぶっ叩く音を聴かせてくれるところもご愛嬌。
出来上がるのを待って思い切り息を吸い込むと、お料理のいい匂いが……
……してきそうな気がしますがそんなことはなく。
目を開けばそこはいつもの自宅キッチンでした。キッチンで聞くと没入感がすごい。
お腹空いてきたなぁ。暑いのできゅうりでも買ってこようと思います。
台本の作り方が、サークル主催だけでなく声優もシナリオ制作もこなすマルチクリエイター・一之瀬りとさんのアドリブ演技→ライターさんの当て書き、というちょっと特殊な手法のようで、今作のヒロインである若葉と会話しているかのような感覚が得られる作りになっています。
その会話の自然さを追求するところとして、トラック1のサンプルからも多少わかる部分ですが、バイノーラルだからといって無闇に右から、左から……というようにしていない点が挙げられると思います。
しっかりと必要なところを見極めて活用している感じで、例えばちゃんと面と向かっている時にはその立ち位置をぶらさずに、会話をしている雰囲気をとても大事にされているところとか。そんな作品作りにとても好感が持てました。
会話途中息遣いや、噛み方、息を飲む音に至るまで、とにかく自然であるように作られている印象です。
陽向葵ゅかさんの声質や演技も作風に合っていて、聴いているととても落ち着きますね。
安眠したい時、気持ちを落ち着けたい時、ゆったりしたい時……
そんな時に聴くのにぴったりな音声作品だと思います。
とてもユニークな作品で、横浜の様々な観光スポットを巡るという内容。
こういう構成、コンセプトを目の当たりにして、音声作品の新しい聴き方というのを知った気がします。
みなとみらい近辺は駅前の街並みが好きではあるものの、赤レンガ倉庫と汽車道を除けば具体的にその周りを散策したことはなかったので、色々な観光スポットを知ることができました。
作品内には実際に現地で聴くための環境音のない「現地ver」と、家で聴くために環境音が入っている「お家ver」と2種同梱されていて、現地verでは実際の場所の環境音とともに作品を聴きながらスポットを巡るという聴き方が楽しめそうですね。
お家verでは環境音が入っているので、情景を思い浮かべながら聴くスタイルとなりますが、マップアプリケーションなどで見られる360度のパノラマ写真などのサービスと併用すると面白いと思います。
スポットによっては写真のみだったり屋内までは見れなかったりしますが、赤レンガ倉庫や海の見える丘公園などは十分用意されているものもあるので、ヒロインのOLさんがどの場所のことを話してくれているのか、実際に探しながらマップを巡るのも楽しい聴き方かなと。
この彼女との旅行でこれらのデートスポットを巡るので、彼女の言葉からその表情が思い浮かぶような、感情を込めて語られるボイスドラマもとても心地が良いです。