○ はじめに
まず、声優の石見舞菜香さんのファンの方は、有無を言わさずに購入しましょう。その実力は折り紙付きなので(それこそ、本稿を書いている直前に、「声優アワード」で助演声優賞を受賞されました)、改めて論じる必要はないでしょう。
次に、特にファンではないけど…、という方は以下を一読してください。
○ ポイント
冬、雪、(男の)喪失感の追憶と再生ともう材料が揃い過ぎているぐらい揃っていますね。
こうした表象は文学、J-POPの歌詞、テレビドラマと思い付くだけでもたくさんの作品があるため、一歩間違えると凡作として埋もれそうになりそうではありますが、大丈夫です、本作は凡作であることを免れています。
脚本そのもので評価するよりむしろ、本作についてはCVとの相互作用でもって評価すべきように思えます。
石見舞菜香さんは癒し系の声に定評がありますが、まず、この強みがを遺憾なく発揮されたことで、脚本の深みが増しています。
また、特筆すべきは単なる「癒やし」に留まっていないことも挙げられます。
喪失感から出発していることと相俟って、「感動」へと連なる系譜も有しています。
両極端なようですが、一作で感情の振れ幅が甚だしくてんこ盛りです。にも関わらず、消化不良を起こすことなく堪能できるのは強みでしょう。
最後に、これは他の方のレビューで言及されていますが、オールドオタクとしては往年の「泣きゲー」を彷彿としました。
(そういえば、石見舞菜香さんは、泣きゲーのパイオニア的な作品である「O〇E」のリメイク版にも出演されていましたね。)
○まとめ
当サークルによる上田麗奈さんを起用したデビュー作(こちらは、本作とは対蹠的な夏が舞台でした)からして出色の出来栄えでしたが、このクオリティが維持されていくとすれば期待しかないです。
皆まで言わずに、カートに入れるべし。
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