甘みありヤンデレありな純愛ボイス作品です。
序盤は何の変哲もない清楚な幼馴染との甘い日常風景が展開されています。しかし、中盤以降は少し雰囲気が変わり、一見すると肌触りの良い平穏な生活が築かれるに至った幼馴染の狂愛が描写されます。
甘い部分も素晴らしいのですがとりわけ印象的なのはやはり中盤以降の狂愛部分です。腹の黒い策士的な面が見えつつも必死に平穏な生活を守ろうとする一途で健気な面も見えるため深く感情移入させられます。
中盤ハプニングが導入されていることにより下手をすれば簡単に何もかもが崩れさりかけない状況であることを理解させられるのですがそれもまた狂おしい。遠いのか近いのか来るのか来ないのか分からない破滅を予感させられることで維持されている狭い世界が一種儚い印象に。
最終盤では公園にて過去の会話が繰り広げられるのですがこの場面は単純に幻想的な美しさが感じられます。夜の公園にて、個々としては大人である幼馴染2人が、淀みない子どもの延長線上にあるような関係性で語りあう構図が綺麗に嵌っていますね。この最終盤の直前では脅迫じみた場面も登場するため、最後の場面の静けさはより印象的に感じられました。この場面が最後に在ることで狂愛でありつつ純愛でもあることが自然と腑に落ちる様な気がします。
総じて、この世ならざる愛によって支えられる脆い平穏の中で寄りかかり合う2人という舞台設定がとにかく美しい作品です。
想像で補完する部分は多いため、ヤンデレ共依存といった設定が元々好きな人に特におすすめです。しかし台本のみならず、ユリさんの演技、声と素晴らしい点は多々あるため少しでも気になった人にはぜひ聴いてみて欲しい作品だと思いました。