一陣の光さんのレビュー一覧

ますます広がってゆく”クミカ”の世界が、ほのぼの
した読後感を残す、”小野中彰大”先生、表題作・第
8話～第14話を収録した、二巻目。
印象に残る収録作品は、社内のメンバー総出で繰り
り出すことになったお花見の、場所取りを託された
”チヒロ”と”クミカ”。”キヨシゲ”への応対や返答に
困った”クミカ”は、”チヒロ”に相談するも・・・な
「第14話・これは夢ではない」。微妙な立場になっ
た”チヒロ”の起死回生な、お話でした。
読んでいて感じたのは、絡みずらかった、と、評さ
れていた”クミカ”が、円滑なコミュニケーションを
とることが出来る様になったことで、世界が広がっ
てゆくのを、本人が実感している点。
ほっこりして、癒される、優しい読み心地の二巻目。

外星人が、珍しい存在ではなくなった地球で、
デザイン会社に勤めている”チヒロ”と、第二
クロロジウム星から来ている”クミカ”との交
流を軸に、食文化を描いた”小野中彰大”先生、
表題作・第一話～第七話を収めた一巻目。
印象に残る収録作品は、その生真面目さから、
頑なに拒んでいた食事を、”チヒロ”や、同僚
の優しさから、受け入れて、地球の食文化に、
好印象を抱いていた”クミカ”に、不得手な物
が・・・な「第五話・嫌い嫌いのそのあとに」。
”チヒロ”の配慮で、不得手(ピーマン)を克服
する”クミカ”を描いた、お話でした。
読んでいて感じたのは、抵抗感を抱きやすい、
未知なるものを受け入れてゆくことで、広が
ってゆく世界を、身近な、食文化をとおして
伝える、”小野中彰大”先生の提案力。身近過
ぎて気づかない、大切なことを、さり気なく、
盛り込んでいました。”チヒロ”と”クミカ”の
不器用な、恋心のゆくえも気になる、一巻目。

”田村茜”先生の繊細な感性が、作品全体をフンワリ
と包みこんでいる、表題作・第六話から第十話まで
と、特別編が収められた、二巻目。
印象に残る収録作品は、田中さん・入江くん、二人
きりでの、初めてのお出掛けを、田中さん視点・入
江くん視点で描いた「第九話」と「第十話」。相手
の気持ちを推し量る、その優しさが、似た者同士な
二人らしい、時間を共有できた、お話でした。
読んでいて感じたのは、”田村茜”先生の細やかな感
性が、すみずみにまで行き届いた、ストーリー運び
の絶妙さ。作品世界の時間がゆったりと過ぎてゆく、
穏やかな空間に、繊細なストーリー運びが寄り添っ
て、他の作家にはない、読み心地と読後感を読み手
に残していました。
穏やかな輝きを放つ、”田村茜”先生・表題作二巻目。

派手なルックスと言動で、他の人からいろいろ
誤解されてるヒロインと、大人なのにメンタル
子供な主人公が、イイ感じになりそで、ならな
い”玉姫なお”先生の表題作・1話～6話、6.5話、
7話と、4.5話に「まことの思い出」を収録した
一巻目。
印象に残る収録作品は、実家暮らしに、居心地
の悪さを感じた”山田広幸”は、一念発起、独り
暮らしをスタート。引越しの御挨拶にと、隣の
部屋へ声を掛けたら・・・な「1話」。お隣さん
”忍野まこと”の、繊細で乙女な内面と、派手な
ルックスかつ誤解される言動に、振り回される
”山田広幸”をコミカルに描いた、お話でした。
読んでいて感じたのは、異形・四コマスタイル
の、独自性ある展開力。ギャップ萌えを内包し
つつ、主人公とヒロインのスクラップ&ビルド
な、恋のゆくえが、小気味よいテンポでサクサ
ク進む展開の推進力となっていて、”玉姫なお”
先生の技量の高さを強く感じさせてくれました。
快適な読み心地と読後感が、約束されてる一冊。

ヒロイン”しずく”が、作品を強力に牽引している
印象を抱いた”須賀達郎”先生、表題作・1球目～
8球目までを収録した、一巻目。
印象に残った収録作品は、強面(こわもて)なその
容姿ゆえ、周囲から一目置かれている、プロ野球
投手”帷子(かたびら)ユウリ”。そんな彼の幼馴染
で、新妻の”しずく”は、繊細で、豆腐メンタルな
”ユウリ”を内助の功でサポート・・・な「1球目」。
”ユウリ”が選手として大成しているのは”しずく”
があってこそ、な、お話でした。
読んでいて印象的だったのは、一筋縄ではゆかな
いプロ野球の世界で、様々な難局を二人で乗り越
えてゆく姿をコミカルなテイストで描いている点。
”ユウリ”のことしか見えていない”しずく”が、ガ
ッツリ、リード・サポート・リカバリーする一冊。

”くろふーど”先生好みの女性像が、作品に独自の
世界観を与えている印象な、2017～2018年にか
けて、雑誌・ビタマンに掲載された、短篇七本が
収められた作品集。
印象的な収録作品は、昔からの腐れ縁で、周囲か
らは付き合っていると思われていた”武”と”凛”の
二人。付き合っていない事を知った男性が、”凛”
に交際を求めてきて・・・な「コクハク」。自分
以外の男性が”凛”と付き合う姿を見て、彼女に対
する気持ちを再確認した”武”が、繊細に描かれた
お話でした。
読んでいて感じたのは、登場するヒロインたちが、
際立って、サッパリとした性格・気質として描か
れている点。”くろふーど”先生自身の好みの女性
がそうなのかな、と読んでいて、思いました。何
気に高い、ヒロインの処女率も記憶に残る、一冊。

作家が、創作活動をする上で体験・経験してゆく
であろう事柄を、俎上(そじょう)に挙げながらも、
作品製作に邁進してゆく姿を描く”クール教信者”
先生、表題作・パラノイア.17~.34と、あとがき
を収録した、二巻目。
印象的な収録作品は、快適な、創作作業環境には
欠かせない作業用BGM。手持ちだけでは、ヘビー
ローテーション(飽きちゃう)になるので・・・な
「パラノイア.19」。
読んでいて印象的だったのは、明快な答えの出な
い諸問題に、自問自答しながらも、作品作りに勤
しむ”水木先生”の姿。”クール教信者”先生自身が
日常的に感じていることを、展開やストーリーに
忍ばせながら、”クール教信者”先生が理想とする
作家像として”水木先生”を描いているのかな、と、
感じました。小ネタで、くすぐりを入れながらも、
骨太な思想も盛り込まれている、気骨のある一冊。

”柚木涼太”先生と担当編集さんの本気っぷりが
すがすがしい、表題作・第一話～第七話までが
収録された、一巻目。
印象的な収録作品は、ルームメイトの”池谷悠”
が存在していなかったら、きっと、大変なこと
になっていると思われる、”鈴原小恋”に夢中な
”山田みのり”(28)独身、の日常を描く、第一話
「お姉さんの大好きなヒト」。”鈴原小恋”への
溺愛ぶりが凄まじい、お話でした。
読んでいて感じたのは、ぎりぎりのラインを突
いてくる、担当編集さんと”柚木涼太”先生の本
気っぷり。”山田みのり”が放つ、煩悩まみれな
行動は、読者側をある種、独自の世界観へとい
ざないます。読んでいて、危うく、洗脳されそ
うになる、危険が危ない、デンジャラスな一冊。

希望を失った主人公がヒロインと出会い、新たな
生活を始めるまでを描いた、”志峨丘トウキ”先生
表題作・第一話から第六話までを収録した作品集。
印象的な収録作品は、主人公”魚沼不動”とヒロイ
ン”雨宮風和”の出会いと、結ばれるまでを描いた
「第一話・いちご大福」。
読んでいて感じたのは、感情を失っていた主人公
の男性が、ヒロインと出会い、希望を取り戻して
ゆく姿を繊細に描いているところ。掲載誌や読者
環境に配慮した、軽快で、さわやかな読み心地を
提供していました。
純粋すぎるヒロイン”雨宮風和”が記憶に残る一冊。

納まるところへ、見事に収まったという印象
を、読み終えて感じた”アサミ・マート”先生
表題作・第六十六話から第七十話までを収録
した十二巻目。
印象的な収録作品は、じぃ～んと感動を抱く
「第七十話・木造迷宮」。
読んでいて感じたのは、物語の初期、あまり
意識しなかった、登場人物たちのつながりが
ここに来て、鮮明になり、一本の輪となって
つながっていた点。
読後、静かな感動に浸れる完結巻の十二巻目。